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ゲーム業界の巨大化とゲームタイトルの衰退

近年のゲーム市場は非常に巨大化し、巨大な利益を生んでいる。そんな競争の中でゲーム会社の合併・買収、倒産というような熾烈なバトルロワイヤルが企業間でも繰り広げられている。その上ブラックな雇用や過重労働などの問題も表面化してきている。これが引き起こすのは、ただ一つ。ゲームの全体的なクオリティの低下である。最近、大企業からもバグだらけの未完成の状態でローンチされるタイトルが非常に多い。インディーズならば資金力もないためこういった方法を取り、ユーザーと共にゲームを作り上げるという選択肢もありだと思うが、大企業のゲームはそもそも発売前から予約購入という形で販売しているものが多い。予約購入というシステムが使われている以上は、発売日にほぼ完璧に近い状態のゲームを遊べるという事を担保しなければいけないはずである。しかし、実際にはそれとは程遠い代物がローンチされる事がしばしばあるわけである。この原因は、大企業の資金繰りの面からゲームの開発の期限があらかじめ設定される事にある。近年のゲームは、開発費が莫大にかかり、人件費もバカにならない。その資金を回収するためには、早いタームである程度収益を見込めるタイトルを出す必要があると考えている企業も多い。その上、ゲームのローンチ後も課金ショップやDLCで継続的な利益を生み出す事も重要視される。それぐらいしないと巨大化した企業を維持できなくなっているのである。これがゲーム業界の競争激化の一番の弊害であることは間違いない。(特に野心的なアメリカや中国の企業がこういう傾向にある。日本は割とのんびりしてるので、逆にそれが開発において(結果的にビジネスにおいても)、大いにプラスに働いていると思う。)日本人はよく知らないかもしれないが、日本のメーカーは良質なタイトルを現在まで多く発売してきている。(スクエアエニックスを除く)それはE3(毎年LAで行われるゲームの見本市。ここで新タイトルのプレゼンが行われる。)の外国人の反応を見ても良く分かる。如何に日本のタイトルが愛されているかを目の当たりにすることができるだろう。

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↑去年のE3の模様。今年は社会事情を鑑み、開催中止となった。

実際、開発費に比例して、良いゲームが生み出せるとは限らない。(インディーズで面白いタイトルは山ほどSteamに転がっている)だからこそ、我々はゲームの面白さの本質を見極める必要があるのである。

おまけ(FPS・バトロワというビジネスモデル)

ここ最近、対戦型FPSやバトロワといったシューティング系のジャンルが台頭してきている。昔はゲームといえばRPGという風潮があり、FPSもあったが、大きなシェアを得てはいなかった。(技術的な側面もある。FPSというジャンルが確立され始めたのは2000年代以降。)

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さて、最近こういったジャンルが人気なのはなぜなのだろうか...昔に比べてゲームジャンルとしての魅力が増したからだろうか?それともユーザーがRPGに飽きたからだろうか?私はそうではないと思う。ズバリ、このジャンルはビジネスと非常に相性が良いからである。つまり、これはユーザーの事情ではなく企業の事情が大きく絡んでいると私は睨んでいる。対戦型FPS・バトロワというのは開発コストがあまりかからない。(開発費ランキングを見てもほぼ上位にランクインしていない)つまり、企業としては参入しやすく、ゲームの開発費も回収しやすいというメリットが存在するのである。さらに共にマルチプレイヤーのゲームであることでスキン等の課金要素での継続的な収益が見込める。(事実として、Free To Playがあるのはほぼ対戦型FPSのジャンルである)

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Free To Play:ゲーム自体は無料、課金での収益を見込むビジネスモデル

よって、企業規模の拡大と合わさって、ビジネスモデルとしてこれらのジャンルが確立されたのである。つまり、企業側としてはこれらのジャンルを流行らせる必要がある。穿った見方をすると、強制的に流行っていると見せかける必要があるのである。(配信者にプレイさせるマーケティングなど)

人間というのは周りの流行などに左右されやすいものである。脳死してみんながやっているFPSやバトロワをやるのではなく、今こそゲームの面白さの本質を見極めて、本当に自分が楽しいと思えるゲームを選ぶことが重要なのである。

”あなたのプレイしているゲームは本当に面白いですか?”

というわけで今回はここまで。では、またいつか...

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