毒。

子供の頃から待ち続けた心が実るほど自分を蝕んだ。
歳を重ねる度に強力になる毒は刃物のように心を刺した。
浮かぶ言葉、出したい表現、面白さ、楽しさ、知れば知る程自分の望む物は攻撃性を増す。
怖くなった私は溢れ続ける毒を塞いだ、何重にも蓋をするように。
何度も何度も隠しては苦しんだ、塞ぎきれない気持ちを絵に込めた。
「言葉が嫌い」と思い続けた子供時代、私は絵を描き続けた。
目は見えず笑っている人、強烈な赤色と紫色、あとは黒で埋め尽くした。
言えなかった思いも言いたくない思いも全部、毎回同じような絵になるのも当然だった。
あの時から言葉は決まっていた、何十年も言わなかっただけだった。

世間一般的に言えば赤色は凶暴性がある色と言われる。
いつから赤色が好きになっただろう、と思い出してみた。
私は青色が好きだった、今でも好きだが、水色と青色が混ざったような澄んだ色が好きだった。
いつ頃かは忘れたが、コピックを初めて買った時に選んだ赤色にとても惹かれた。
今深読みをすると一番気持ちを表現出来た色だったんだと思う。
拙い言葉を書くよりも色を塗った方が気持ちとして素直に表現出来た。
私が文字で表現出来るようになったのはここ数年の事だ、10代20代の頃は自信も何もなかった。
絵は私の気持ちになった、だがいつしかそれも変わっていった。
気持ちの世界に社会が出来て、私はそこを見守る人になった。

心の毒は変わらず溜まり続けている。
全身が浸かるような毒の海で私は揺蕩っている。
もう足掻けないのだ、蓋はボロボロになり毒は溢れ続けている。
心の毒を認める度に私は泣いた、素直で居る程浮かんでくる毒に私は苦しんだ。
人から受ける毒も自分から出る毒も全部辛くなった、警戒心ばかりが強くなった。
疲れてしまった、何をしても辛くなる。
作り上げてきた道は全部毒を隠すための道だったから、毒と共に生きる道は何も見えていない。
不安でしかない、当然だ。

必死で自分を認めようとしている。
時間は掛かる、むしろ私は早く決断しすぎなのだろう。
自分の毒に耐性をつけて共に過ごせるように。

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