
マネジメントで苦労した話
自分の事業を組織化していくと、経営者という肩書はあってもサラリーマンと変わらない日常が広がっていく。
どうやって売り上げを上げるかという営業チームの悩み、どういう仕組みにするか考えるエンジニアチームの悩み、どう広げていくか考えるマーケの悩みなど、どこにでもある組織の縮図が完成する。
サラリーマンとの大きな違いは自分を中心とした組織であることくらいだ。
僕はこれまで転職で様々な会社を経験し、小さな組織から大きな組織まで、いろいろな事業の下で仕事をさせてもらってきた。
そのおかげで「これはあの会社ではこうやったな」とか「実際に〇〇したけど失敗してたな」など、自分の過去経験と重ねて考えることができる場面を多く持つことができている。
改めて思うが、どの会社にいようとやることに変わりはない。ユーザーに価値を提供し、売上と利益を伸ばすだけだ。自分たちの価値は何か、売上はどうすれば伸びるのか、利益を伸ばすために何をすべきか?を考え抜いて行動するに尽きる。
しかし、このシンプルな原理は人を介すことで複雑化していく。
自分の評価ばかり気にする人が出てきたり、やりにくい人との仕事を避ける人が出てきたり、他人任せでやる気のない人が出現したりと、個人レベルで手段の目的化が展開され、本来目指すべき目的から逸れていく。
「会社が〇〇してくれない」という、実体のない“会社”というワードが語られるようになるのもこの時だ。
人数が増えれば増えるほどに手段の目的化は広がっていく。マネジメント経験のある人ならわかると思うが、チームの人数が増えたにも関わらず、数字が一向に伸びない状況というのはよくある話だ。
中身を見ていくとメンバー個人が自分の成績を守ることに必死になっていたり、新人の追加がチームの不協和音になっていたりする。
僕もプレイヤーとして同じような経験をしたことがある。新人に負けたくないという理由から、自分には売り上げの高いクライアントを固め、新人には関係性が悪かったり、自分がやりにくい会社を渡したりしていた。自分の立場を守るために必死だったのを覚えている。今思えば誰のためにもなっていない、とても恥ずかしい話だ。
逆に、マネジメント側として苦しい思いをした経験もある。株式会社ハウテレビジョンという「外資就活ドットコム」を運営する会社で営業部長を任されたときのことだ。