やっぱりわからない計測のはなし

私の自己紹介と前の記事はこちら↓
 
 https://note.com/recrooot_no_kiji/n/n2727ec458a7d
 
前回は計測の導入部分とちょっとした学Fにおいての具体例と紹介しました。
 
今回は企業で実際に行われている計測ってどんな感じなの?
どれくらい重要視されているの?
ってか俺たちにその真似事なんてできるの??


って感じの辺りを書いていきたいと思います。

最近コロナやら何やらで前年度車両の計測とかしているチームも多かったみたいだからこのあたりの概念的な部分は理解しているチームが増えていたらいいなと淡い期待もしていたり…

というわけで、今回の記事は手加減少なめのガチンコ記事です。

こちらの記事も以前の学Fアドベントカレンダーで書いたものですので少々時間軸がおかしかったりしますが許してください。

今回の記事の構成は本来やるべき順番と逆にしています。
知ったつもりになっていそうな感じのことからどんどん原点に掘り下げていくイメージです。

そうする方が現役の人はスッと入るかなと勝手に考えています。


 
①    計測の重要性
 
いきなり書きますが、自動車に限らず設計において計測がどれほど重要かと言いますと、

「メーカーでは設計と同じくらいの人数が計測に割かれている」

というくらい重要です。
「え?設計が中心なんじゃないの?」とか
「計測って最後にみんなでまとめて行うものなんじゃないの?」とか
学Fからこの業界に触れた人だと思う人がいるかもしれませんね。

前回の記事ではこの部分はあえてちょっとしか言いませんでした。
急に言われるとびっくりしちゃうもん。
 
勿論メーカーの計測チームは設計から完全に独立しているわけではなく、設計部隊と密接に関わっています(半分兼任みたいな人もたくさんいますけどね)。
基本的に人手が足りない学Fの場合、設計した人が評価する、ロガーを持ってる電装の人がまとめてはかる、というようなことが多いかと思われます。
 

※色々と計測を任せられることが多い電装班のイメージ
 
 
次で計測って実際に企業だとどうやってるか?
等書いていきます。

 
②どうやってるの?まずどんな感じで計測のやり方って調べるの?
 
ここが皆さん一番知りたいところだと勝手に思っています。(特に後者)
 
みなさん実際のメーカーでの計測ってどんなイメージがありますか?
 


たぶんこんな感じないろんな機器を使った壮大なものだったり
(自社製品の宣伝?いやまさか…)
 


こんな感じに難しいソフトこねくりまわしたりするものだったりするかもしれません。
(自社製品の宣伝?いやまさか…)

そうですその通りです!!!難しいよ!!!
(そしてここであきらめてブラウザバックしないで下さい!!!)

 
ぶっちゃけると計測は課金です!課金すればするほど良いデータが取れます!
(何を以って良いデータというかはさておき)これは間違いありません!

 
なんとなく最近皆さん察しているかとは思いますが、プロの集団にお金積んで依頼すれば確実に欲しいデータは得られます。
 
データ量のイメージ的には

これが

こう
 
って感じです。
 
となると
「お金もスポンサードも上手く取れないチームはまともな計測ができないのか?」
となるわけですが、そんなことはありません。
 
上記の計測課金は要するに「プロのノウハウを買っている」面もあるので、学生でもしっかりと知識さえ付ければデザイン審査で使用するレベルの計測は行うことは可能だと思います。

勿論その付けた知識はこの先に自動車以外でものづくりをする際に必ず生きてきますので「自動車メーカー行く気ねぇよ!」って人も勉強しておくと吉です。
(むしろそういう人が勉強しておくと将来本気で使える知識になるかもしれませ)
 
その知識を得る上で最も重要なのが電気工学の話です。学Fは機械工学系の人が多くて電気アレルギーの人も多いかとは思いますが、感覚で言うと計測で使うレベルの電気は力学よりも簡単です。とかいう私は力学系でいくつも再履修があります。

ここの細かい話をし出すときりが無いし私の知識不足のボロが出るのでそのあたりは自分で調べて見てください。
 
調べるときは

「温度 計測」
「ひずみ 計測」
「電圧 計測」
「移動量 計測」
「流量 計測」
 
とかのワードで原理と方法を調べてみるといいと思います。
(おそらくその計測関連のセンサーと原理とかが出てくるかなと…)
 
学生さんだと意外とここのスタート地点をスルーしてしまう人が多いのかなというイメージがあります。
 
それもそのはず、みんな具体的なワードで調べるんですもん。
 
「油温 計測」
「フレームひずみ 計測」
「吸気流量 計測」
 
こんなワードで検索してしまったこと、ありませんか?
私はあります。
(自動車関連記事だと意外と出てくるけど原理を知らないから理解しきれないことが多いし、一番困るのが知ったつもりになってしまうことも多い
 
この検索の感じをちょっと下品な例えをすると、
 
「女の子 落とし方」


 
を調べる前に
  
「中条あやみ 落とし方」

を調べているようなものです。
 
そりゃでて来ない。
ちなみに別に中条あやみはそんなに好きじゃない。

(最近素直に顔が良いなって直観で思うのは男性の方がなぜか多いですね。
女性タレントの顔が似たりよったりに見えてきてしまうおじさん特有の現象かもしれませんが。)
 
とにかく
何かはかりたいものがあって、その方法や原理を知りたいときは原点に立ち戻るといいです。

根本的になにをはかりたいのかをはっきりさせる。
(油温なら温度、負圧なら圧力…等)
 
次ではもっと手前の「そもそも何をはかればいいかわからない」という部分について書いていきます。
 
③はかるといっても何を…?
 
ここから本題じゃあ一体なにをはかればいいのか?というとこです。
前回の記事では計測と設計の関係を「料理の味見」に例えました。それにつきましては前回の記事を読んでみてください。(冒頭にリンクあり)

たまに「みんながこの計測してるんで計測しました」ってチームも見るのですが、そういう計測は1年間で車両を製作する学生フォーミュラにおいては活用が難しい場面が多いです。
裏を返すとみんながやってるから生きることもあるんですがね。

(長年なんとなく取っていたデータが功を成す、といつパターンもありますが取り方を間違えていて参考データ送りになることも多々あります)
 
前回の味見の例えからもう少し実践的な例え(というか偉大な前例?)を…
 
トリビアの種です。(わからない人は調べてね)
 


ざっとこんな感じのどうでもいい検証をするコーナーです。
 
このコーナーすごくて、
巨大なクレーンで巨大な輪ゴム飛ばしたて何m飛ぶかとか、
クレーンでつり革に大量にマネキン吊って限界検証したり、
小便小僧にウォーターカッター並みの水圧吹かせて小便器貫通させたり…
ともう石油王レベルの実験をして
テレビの力ってすごいですね、って感じのコーナーです。
(個人的にはナメクジとカタツムリのどっちが早いかとかが好きだった)
 
実際そこまでド派手にやれというわけではなく、ここで大事なのがそのコーナーの冒頭で必ず言う「実際にやってみた」です。
 

 ========
 
~ここで私の具体的な「実際にやってみた」エピソードをひとつ~
 
私は学F現役時代吸気の設計を行っていたのですが、吸気脈動と管長の関係性の計算がどうしても腑に落ちなくて、実際にシャシダイで吸気の管長を切り替えてエンジン出力を計測する実験をしてみました。
数種類の長さの吸気管を用意して、それを付け替えて試験を行い、データの比較を行いました。
(一応チームの秘密保持のために写真掲載と詳細は書かない)
(待ってそのデータってちゃんと残ってる?)

そうして取ったデータを見るとあら不思議、計算値とデータが大体一緒になりました。
やっぱり公式とかを作る学者さんって偉大なんだなと感じながら私の不安は払拭されました。

この年のデザインそこそこ点数良かった記憶があります。100点は超えてたはず。

======== 

というのが計測まつわる私のエピソードです。
 
最初はこういう感じで、理論値と実測値の相関みたいなものを調べてみるといいかもしれません。いきなり未知の値を取ったとしても妥当性がわからなかったり、結局うまくいかせなかったりします。
 
学Fだと未知の値に手を出しがちかもしれませんが、まずはシミュレーションですでに値が出ているあたりに手を出すといいかもですね。
 
こういう計測がいろんな部分の設計において活きてくればおのずとデザインの評価は上がってくると思いますし、車両の完成度も上がるのかなって思います。

と言うよりメーカーの実際の設計→計測の流れがほぼこれです(はいOBそこで例外いっぱい挙げない)。

このペースと頻度とサイクル回数がメーカーはとんでもなく多いのです。なので計測部隊が常駐するのです。ほ。

 
 
④まとめ
 
今回はがっつり計測の重要性とかをイメージ書いてみましたけどどうでしたでしょうか?
正直こういう話って一人で話すとぜんぜん盛り上がりませんし誰かのちょうど欲しいと思うところが書けなかったりします。
 
つまりなにが言いたいかと。

前回の記事でも書きましたが、 私のアカウントに質問してもらえば時間作ってお答えしますしオンラインでもオフラインでも相談受けます。FF外から失礼されても大丈夫です!!(前回コピペ)

設計と同じくらい、計測って分野も学Fで発展し熱く議論されることを祈っております。
 
以上またまた駄文長文になってしまいましたが読んでいただきありがとうございました。 
 

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