部活動について考える。
今回は、部活動について考えてみようと思います。
中学校、高校と多くの人が経験してきた部活動。学生時代の部活経験は、1つのアイデンティティーとして語られることがあると思います。
読者の皆さんは、部活動に対してどのようなイメージをもっているでしょうか。「キツかったけど、楽しかった」「青春そのもの」というように、肯定的なイメージを抱いている人もいれば、否定的なイメージを抱いている人もいるかもしれません。
1.ブラック部活
そんな部活動ですが、最近「ブラック部活」という言葉があるのをご存知でしょうか。ブラック部活とは、ブラック企業・ブラックバイトから派生してできた俗語です。wikipediaからの引用によると、
ブラック部活(ブラックぶかつ)もしくはブラック部活動(ブラックぶかつどう)とは、日本の教育(学校教育、主に小・中学校および高校)において、生徒と保護者の同意を得ず部活動に入部を強制させたり、生徒の人格を否定するような暴言や、体調を崩すほどの長時間拘束をする部活動のことを指す俗語。
https://ja.wikipedia.org/?curid=3767827
とされています。一昔前のように、表立った体罰は少なくなっていると思いますが、強制的になんらかの部活動に入部させたり、長時間の練習をしたりしている学校は未だに多いはずです。
2.部活動の位置づけ
そもそも、部活動は学校教育の中でどのような位置づけをされているのでしょうか。中学校学習指導要領総則において、部活動は以下のように記述されています。
教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養、学校教育が目指す資質・能力に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。
(一部抜粋)
簡単にまとめると、部活動は、
・教育課程外の活動
であり、
・生徒の自主的、自発的な活動
であるということです。
ですので、部活動に強制的な入部をさせることは、そもそも間違っている事がわかると思います。
3.ブラック部活の問題点
その1 スポーツ障害を引き起こす可能性・生徒の疲弊
運動部では、競技の特性上、勝敗が決まります。もちろん、負けるより勝ったほうが嬉しいですし、スポーツをやる上で勝利を目指すのは自然なことだと思います。
ですが、勝利だけを目指す「勝利至上主義」に陥ってしまうと、勝つためなら長時間の練習も容認するという考えになってしまいます。
中学生、高校生はまだ成長途上で、身体は未熟です。体が未熟なうちに重い負荷をかけすぎてしまうとケガにつながります。
また、長時間練習をすることで、勉強の時間を確保できないという生徒もいます。教育課程外の部活動のせいで、教育課程内の学習が疎かになってしまっては、本末転倒です。
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その2 先生が疲弊する
ブラック部活の問題点は、生徒側に起こるものだけではありません。生徒の部活動をサポートする先生も疲弊してしまいます。
先述したように、部活動は教育課程外の活動であり、生徒の自主的、自発的な活動です。部活動を学校の先生が監督しなければならないという決まりはどこにもありません。
「でも、部活動の時間も給料が出るんでしょ?」と思うかもしれませんが、部活動は基本的に勤務時間外の活動であり、教師は残業代が出ません。
※土日の部活動については、活動時間が4時間以上なら3600円、2~4時間なら1800円が支給されます。(自治体によって異なるかも)
もちろん、部活動が好きで、積極的に取り組んでいる先生もいますが、仕方なく部活動の顧問をしているという先生もいることは事実です。
4.今後の部活動の在り方について
では、今後の部活動はどうあるべきなのでしょうか。解決策の1つとして議論されているのは、部活動を学校から切り離して地域に任せること。
部活動が先生の長時間勤務につながっているのなら、外部の人材に任せてしまおうということです。確かに、合理的な考えです。ですが、放課後や休日に部活動を担当してくれる人はどれほどいるのでしょうか。
また、学習指導要領の記述を思い出してください。
学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。
とあります。部活動は、教師の正式な業務では無いにもかかわらず、学校教育の一環、と書かれています。
つまり、部活動は、単なる技術指導だけでなく、教科指導や生徒指導との関連に注意して指導する必要があります。
部活動を地域に移行するとしたら、学校教育と結びつけるのは難点があります。
地域に移行するのが難しいなら、とりあえず時間を減らそう、ということで
現在、スポーツ庁から「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が示されています。これには、
・週あたり2日以上の休養日(平日1日、週末1日)をとること。
・1日の活動時間は長くても平日2時間程度、休業日は3時間程度
といった活動時間の基準が示されています。
しかし、これはあくまでもガイドライン。法的拘束力もなければ、守らなかったからといって罰則があるわけではありません。
なかなか難しい問題だと思います。
部活動には、良い面・悪い面の両方があります。そのどちらも理解した上で、今後のあり方を検討していくことが求められています。