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11月の#キクキキ COP28特集その3

 みなさんこんにちは!record 1.5スタッフです。
 本noteは#キクキキ COP28特集回 Part3の内容をまとめたダイジェスト記事です! #キクキキの概要は以下noteをお読みください。

★特別回「COP28特集」について★
 2023年11月30日よりアラブ首長国連邦(UAE)にて開催されたCOP28。昨年のCOP27ではドキュメンタリーを制作したrecord 1.5ですが、本年はPodcastを中心に発信を行います。COP28の前、開催期間、そして終了後。COP28に関する連続した発信を通して改めて気候危機の≪危機感≫を見つめます。

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◆COP28特集回 Part3 「COP28の焦点 ~環境NGOの視点から~」◆

 これまでCOP28特集回Part1、2では、COP28に特に焦点を絞るのではなく、まずは基礎的な知識として、日本の気候変動対策の現在地を振り返る内容を配信してきました。
 11月30日公開、COP28特集回のPart3では、いよいよCOP28の中身について取り上げます。国際環境NGO 350.orgのキャンペーナーでいらっしゃる伊与田昌慶さんをゲストにお迎えして、気候危機の最前線で声を上げるNGOの視点を借りながら、COP28の注目ポイントについてまとめた配信となっています。

◇COP27から現在まで 1年の振り返り◇

 昨年11月に開催されたCOP27から現在までの1年は、「化石燃料から脱却して再生可能エネルギーへ移行することの重要性が再確認された1年だった」と伊与田さんはおっしゃっています。
 たとえば、今年5月から6月にかけては、アフリカで開発が進められようとしている大規模な化石燃料事業「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)」について、日本のメガバンクが関与していないことが公表されました[1, 2]。

東京・三井住友銀行前で声をあげる若者・市民 [3]

 また、今年5月に広島で行われたG7サミットでは、化石燃料からのフェーズ・アウトや、再生可能エネルギー拡大の数値目標が合意に盛り込まれました。

2023年気候変動政策の進歩

  • 化石燃料からのフェーズ・アウトがG7サミットの合意に盛り込まれる[4]

  • 再生可能エネルギー拡大の数値目標がG7サミットの合意に盛り込まれる[5]

  • 再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にするという目標がG20サミットの合意に盛り込まれる[6]

 これらは気候危機の解決へ向けた一定の前進と捉えられる出来事ですが、一方で伊与田さんは、「G7の中に日本がいなければ、もっと良い合意ができたのではないかと思わざるを得ない」という発言もされています。たとえば、他のG7諸国が石炭火力発電の廃止へ向けた計画を打ち出すなか、日本は2030年以降も石炭火力発電を続けることを計画しており、これは日本国内だけでなく、他の発展途上国にも政治的な悪影響を与えている懸念があると伊与田さんはおっしゃっています。
 Podcast本編では、具体的な数字をまじえながら、伊与田さんがより詳しい解説をしてくださっています。

◇COP28の注目ポイント◇

 伊与田さんは、COP28での交渉の注目ポイントとして、①再生可能エネルギーの拡大に関する合意と、➁すべての化石燃料からのフェーズ・アウトに関する合意を挙げていらっしゃいます。
 再生可能エネルギーの拡大に関しては、「再生可能エネルギーを3倍にする」という合意が盛り込まれるのではないかと予想されており、国際的に「流れが来ている」なかで、COP28の合意文書でどこまで強く打ち出せるかが1つのポイントとなる、と伊与田さんはおっしゃいます。また伊与田さんによれば、この議題について日本政府は「あえて合意に反対はしないが、日本国内で3倍にするとはいえない」という姿勢であり、たとえ合意がなされたとしても、再生可能エネルギーの拡大について国内で声を上げ続けていく必要があると注意を促しています。
 再生可能エネルギーの拡大については「流れが来ている」一方で、化石燃料からの脱却については、COP27で多くの参加国政府やNGOからの後押しがあったにも関わらず合意文書には盛り込まれなかったという出来事がありました。化石燃料の段階的廃止は、複数の研究機関のレポートによってその必要性が示されており、COP28で合意がなされれば気候危機の解決へ向けた大きな一歩となります。COP28の議長が石油会社の重役であることなど、合意形成へ向けた障壁は高く、交渉の難航が予想されていましたが、結果としては土壇場で「化石燃料からの脱却」という言葉が合意文書に含まれる運びとなりました[7]。

 また伊与田さんは、COP28の開催や日本の気候変動政策について批判するだけでなく、自分で声を上げる・行動する必要性を説かれています。たとえば今回、COP28の議長が石油会社の重役であることが多くの市民からの批判を呼んでいますが、伊与田さんは「日本国内の気候変動対策についての審議会も似たような状況だ」とおっしゃっており、批判のまえに自省と行動を行うことの重要性を強調されています。

 Podcast本編では、気候変動対策についての国別目標(NDC)の期間設定についての専門的な議論を含む、より詳しいお話を聴くことができます。また、今後record 1.5では、COP28での交渉の成果や市民アクションについて振り返る配信を行う予定です。
 ぜひ今回のPodcastと併せて、今後配信されるPodcastもお聴きください。

(Text, 編集:後藤隼)

◆参照◆
[1] 国際環境NGO 350.org Japan, 【プレスリリース】三井住友FG、東アフリカ原油パイプラインに「現在関与なし」と初めて表明 〜市民社会は歓迎。脱化石燃料のためのさらなる約束を求める〜, 2023.05.16, https://world.350.org/ja/press-release/20230516/
[2] 国際環境NGO 350.org Japan, 【プレスリリース】三菱UFJフィナンシャル・グループ、「東アフリカ原油パイプライン(EACOP)への支援なし」と初めて表明: 市民の気候ムーブメントの成果, 2023.06.02, https://world.350.org/ja/press-release/20230602/
[3] 国際環境NGO, 350.org Japan, 【プレスリリース】三井住友銀行等に対する気候アクションを世界19都市で実施:三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対して「東アフリカの巨大化石燃料事業に資金提供しない」との約束を求める, 2023.02.23, https://world.350.org/ja/press-release/20230223/
[4] G7広島首脳コミュニケ, 2023.05.20, pp.16, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100507034.pdf
[5] G7広島首脳コミュニケ, 2023.05.20, pp.15, 
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100507034.pdf
[6] G20ニューデリー首脳宣言, 2023.09, pp.15, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100550653.pdf 
[7] NHK, COP28 化石燃料から「脱却を進める」で合意, 2023.12.13, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231213/k10014287101000.html

◆更新状況◆
2023/12/29:公開しました。

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