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アルバム制作とCD

こんにちは、レコラボです。

フランソワ・マリコさんのアルバム、
"Rainy Days"がリリースされてからしばらくたち、記録としてライナーノーツにも書かせて頂きましたが、そこにはないアルバムを作ってて思ったことをnote店にてコラムとして書きます。


【1.CD制作に積極的ではなかった自分】


ストリーミング配信が随分と浸透して、
新譜のリリース=サブスクで視聴できる
という認識になってきている昨今。

この時代において、CDを作るということが
どちらかというと消極的だった。

CDプレーヤーがついていないPCが標準だったり、
CDレンタル店が次々に姿を消したりと、
ストリーミング配信やYouTubeよる
影響を感じざるを得ない。

また44.1 kHz/16 bitのCDに対して、
ストリーミングでは48kHz/24 bitにはじまり、
96kHz, 192 kHz…とハイレゾ化している。

さらにレコードやカセットが再び盛り上がりを
見せており、媒体独自の質感が音にも
反映されている。
アナログ感や時代感を感じるアイテムとしても
注目されている。

CDはデジタルのハード媒体なので、
こうした音の質感で重宝されている訳ではない。

少し角度を変えて、「モノ」から「コト」消費へと
社会のニーズがシフトしていることから、
音楽での体験、つまりライブやフェスで
売上を上げることが求められるようになった。

オーディエンスへアーティストの
リアルな生き様をステージで見てもらうことが、
音楽を伝える一番の方法。
その収益で次の制作の予算を確保する上でも
興業の重要度は高く、
パンデミックによってその場所を
奪われたことによって、音楽活動そのものを
止めたり、辞めてしまうほど
ステージの存在は大きかった。

なおD-STUDIOでレコーディング業を
はじめてから、ネットミュージシャン化
してしまった自分にとって、
CDは遠い存在となっていた。

【2.歌詞カード】


フランソワ・マリコさんのアルバムを
制作していくことが決定して、
ストリーミングだけではなく、
CDとしてもリリースしたいとリクエストを頂く。

CDが売れない時代と言われる中、
やってみれば意外と売れる事実はあるとはいえ、
実際に売っていくのは決して簡単ではない。
そんな懸念を抱きながら、
制作を進めていく中で、
歌詞カードの原稿が上がってきた。

楽曲に相応しい自体、背景、写真と共に
ブックレット一冊にまとめられた
歌詞たちを見ながら聴く。
デモ音源制作から携わった楽曲たちに
名前やストーリーが刻印されているような感覚で、
すごく感動的だった。

歌詞を大切にするというのは、
感情を込めて歌ったり、
言葉をじっくり眺めることだけではないのかも。

テロップでもなく、文字情報の資料として
でもなく、アートとして歌詞を
体感したかったのだろう。

能動的に楽曲を聴きながら歌詞を自分の目で追う。
それがブックレットに収まっていて、
アルバムCDとプレーヤーさえあれば、
体感できるシンプルな楽しみ方。

オートマティックな歌詞の誘導が
必ずしも優れている訳ではない。

元来的な音楽の楽しみを
デジタルテクノロジーが省略してしまったのか、
それすらも現代人はめんどくさくなって
しまったのか、分からないけど。。

ブックレットを眺めたり、
デザインを楽しむCDアルバムの文化を再認識した。

【3.実店舗でリリース】


CDが売れない時代に、CDショップが
実在するその理由は能動的に作品を届けたいから。
試聴機でちょっと聴いてみたらいいじゃん!
っ出会う音楽があっていいじゃないか。
棚に並んでCDを手に取る出会い方が
あっていいじゃないか!?

"フランソワ・マリコ"が掲げる「不意打ちの音楽」
とはこんなことを意味してるようにも感じる。

ありがたいことにタワーレコード梅田NU茶屋町店様
でCDアルバムをお取り扱い頂いており、
なんとインストアライブまでさせてもらった。

店舗に販売コーナーを設けてもらい、
そこでどう見て、聴いて、手に取ってもらえるか、
ポスターの掲示やイベントの内容、
リリースまでのことも一緒に考えさせてもらった。

何でもスマホで手に入るこの時代に、
実店舗へ足を運んでもらうためにやることって
こんなにも大変なんだなと。

でもこうしたプレッシャーに
立ち向かっていくことが重要。
配信リリースはその気になれば配信停止できるが、
CDとなるとそう簡単にはリコールできない。
配信リリースより明らかにハードルが
上がっていく中で、音源やブックレットの
チェックがもの凄くシビアになる。
入稿までのハラハラ感は
まるで生きてる感じがしなかった 笑

そのハードルに見合ったものなのか、
作品もアーティストも試されることになり、
最終形態へと微細に整えていくことで
磨かれていく。

昔と比べて、今の音楽に足らないものが
あるとするなら、こうした思い切りとか
腹の括り方な気がしてならない。

そしてわざわざ足を運んで
馴染みのCDショップへ足を運ぶことこそが体験。
インストアライブで直接体感してもらい、
拍手をたくさん頂いて、
アーティストが購入者へサインしてお渡しして。
サインの列を見ているとグッとくるものがあった。

【4.まとめ】


CDという音源媒体そのものが
現代とマッチしているとは正直言えないけど、
CDをリリースしていなければ
こうした体験はなかったことになる。

また新たにレコーディングのお話を頂く際、
その場でCDをかけて頂くことがあり、
「ではお願いします。」とご依頼を頂いている。
本作"Rainy Days"は取り扱っているジャンルが
幅広く、シチュエーションに応じた選曲ができ、
CDアルバムとしてカタチになったことに
とても感謝している。

音楽のリリースに関して、
サブスクやCDとの歪な関係性は
今後も議論が続いていくと思うけど、
私たち音楽家はまずいい楽曲、作品を
創り上げることだけに注力すべき。
いいものは時代を越えて愛される、話はそこから。

また新たに力作となって完成して、
タワレコさんで再び発売を迎え、
リリースイベントを開催することができるよう、
引き続き自身のレコーディングを
磨いていこうと思う。

最後まで読んで頂き、
ありがとうございました!

"Rainy Days" / Francois Mariko
2022.06.02 Released

【各ストリーミングサービス】

【CD購入】

【ライナーノーツ】

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B0B2PTS74W/ref=cm_cr_arp_mb_bdcrb_top?ie=UTF8


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