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WEB Re-ClaM 第51回:クラシックミステリ原書刊行状況(2022/9)

リストはとっくに作っていたのに、そういえば情報をアップロードするのを忘れていました。11月は早めにアップしなければ……

Ed. by Martin Edwards / Final Acts (2022, British Library Crime Classics)

エドワーズ編のアンソロジーで、こちらは劇場での犯罪をテーマとしています。バロネス・オルツィの「〈ノヴェルティ〉劇場事件」から始め、メイスン「セミラミス・ホテル事件」、セイヤーズ「血の犠牲」など有名作を挙げながらアントニイ・ウィンやバリー・ペロウンなどを混ぜていく辺りにうまさを感じます。締めはクリスチアナ・ブランド「事件のあとに」。今回もいいセレクションでした。

Sebastian Farr / Death on the Down Beat (1941, British Library Crime Classics)

こちらは音楽の専門家が一作だけ書いた「Singleton」としてエドワーズの『100 Books』でも紹介されている作品です。ブリティッシュ・ライブラリーの叢書も、有名作・有名作家の復刊だけでなく、知名度の低い作品の掘り起こしまでできるようになってきて、いいことですね。ちなみに、11月発売のRe-ClaM 第9号では、偶然にも、小林晋さんがこちらの作品のレビュー(元の本)を掲載してくださっています。興味の向きはぜひご覧ください。

Ed. by Tony Medawar / Ghosts from the Library (2022, Collins)

毎年 Bodies from the Library として未発表・未収録作品の再録を行っているトニー・メダウォーが、「探偵小説作家の書いた怪奇小説」という縛りで作ったスペシャルアンソロジーがこちら。クリスチアナ・ブランドの "The Witch" はやや長め(50000字前後?)ですが、後は短いものが多いです。アントニイ・バークリーの作品なども収録されており、日本人読者にとっても興味津々かと思います。

Mary Fitt / Requiem for Robert (1942, Moonstone Press)

メアリ・フィットは、全然読めていないので、とりあえず出ていることのご報告まで。Moonstone Pressも精力的に新刊を出してくれていて、素晴らしいですね。

他、以前お伝えしたマックス・ダルマンの格安電子版続刊(これで15冊中13冊)なども刊行されています。翌10月も様々な作品が刊行されていますので、こちらはお早めにお伝えできるようにしたいところです。

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