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WEB Re-ClaM 第55回:クラシックミステリ原書刊行状況(2023/2)

だんだん暖かくなってきましたね。花粉もかなり飛んでいるとか。個人的には花粉症はないのですが、症状が出ている方はどうぞお大事に……

★John Dickson Carr / The Red Widow Murders (1935, American Mystery Classics)

カーの復刊もいよいよ本格化してきました。それにしても、カーター・ディクスン名義の作品を「ジョン・ディクスン・カー」の名義で出すのはどうなんだろう。昨年末出た『白い僧院の殺人』原書(ブリティッシュ・ライブラリー)はディクスン名義で出ていましたね。

★John Ferguson / Death of Mr. Dodsley (1937, British Library Crime Classics)

★John Ferguson / Murder on the Marsh (1930, Black Heath Classic Crime)

★John Ferguson / Death Comes to Perigold (1931, Black Heath Classic Crime)

★John Ferguson / Night in Glengyle (1933, Black Heath Classic Crime)

ジョン・ファーガスンという作家の長編が二社で同時に復刊されました。おそらくは代表作と思われる Death of Mr. Dodsley は、Black Heathでも同じく刊行されています。この作家は1952年に亡くなったそうで、ちょうど英国でも著作権保護が終わり、こういうほとんど青空文庫のような電子書籍でも出しやすくなった……ということのようです。ちなみにM.K.氏の『ある中毒患者の告白』曰く「~Dodsley はビブリオミステリとしてかなり出来がいい」とのこと。読んでみようかな。

★Max Allan Collins & James L. Traylor / Spillane: King of Pulp Fiction (2023, Mysterious Press)

パルプ私立探偵小説の研究者ジェイムズ・トレイラーとミステリ界きっての職人作家で、コミック版の原作からスピレーンの未完成原稿の補作までやっているスピレーン・ファンの第一人者、マックス・アラン・コリンズが組んでのミッキー・スピレーンの評伝、その第三弾です。スピレーンは(特に日本では)既に忘れられかけた作家となっていますが、殊に1950年代においては絶大な影響力を持っていました。その探偵役マイク・ハマーが初登場して75年、新たな、そして決定版の評伝として本作を刊行したとのこと。要注目です。

ということで、2月分はここまで。果たして三月はどんな本が出ますやら。次回をお楽しみに。

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