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WEB Re-ClaM 第67回:クラシックミステリ原書刊行状況(2024/3-4)+Re-ClaM 第12号目次公開

ここのところ、二カ月に一回更新になっていてよろしくありませんね。この記事は二カ月に一回でも、その間のタイミングで何かアップできればいいのですが……

・2024年3月刊行分

Dolores Hitchens / The Cat Wears a Noose (1944, American Mystery Classics)

★John Bude / A Telegram from Le Touquet (1956, British Library Crime Classics)

★Richard Davis / In the Fog (1901, Library of Congress Crime Classics)

★Mary Fitt / Sweet Poison (1956, Moonstone Press)

・2024年4月刊行分

★Phoebe Atwood Taylor / The Mystery of the Cape Cod Players (1933, American Mystery Classics)

Christianna Brand / London Particular (1952, British Library Classic Crimes)

★James Ronald / They Can't Hang Me (1938, Moonstone Press)

★James Ronald / The Dark Angel (1932, Moonstone Press)

3月刊行分ではジョン・ビュードの後期作が面白い。大英図書館の叢書ではこれまで初期~中期の作品の復刊が行われてきましたが、今後更なる刊行が進む可能性もあります。入手困難作を中心に、新たな復刊が行われることに期待しましょう。
4月刊行分では、何よりクリスチアナ・ブランド『疑惑の霧』の原書の復刊が嬉しいところ。何しろ、「霧」にまかれていくがごとき茫洋とした作品を、解像度の低いぼんやりとした翻訳で読まされてきたわけですから(『自宅にて急逝』も古い訳が残っていますが、こちらはまだマシという印象)。これまでは、Mysterious Pressの「日本からは買えない」kindle版を指を咥えてみているしかありませんでしたが、ようやく正当なルートで手にすることができたというのに感慨があります。kindle版はまだ販売されていませんが、レーベルの通例から言って一月ほど遅れる場合もあるので、気長に待ちましょう。
昨年から連続で刊行されているジェイムズ・ロナルドも興味津々。特にThey Can't Hang Meは英米のマニアの間でも評価の高い作品なので、そのうち読んでみようかなと考えています。

併せてのお知らせとなりますが、今週末5/19(日)に行われる文学フリマ東京38にて、Re-ClaM 最新刊(第12号)を刊行いたします。目次は以下の通りです。

◆【特集】ダブルデイ・クライムクラブとその歴史~ History of "Doubleday Crime Club"(続)
[評論翻訳]エド・ハルス「クライムクラブの黄金時代、1928-1940(承前)」(三門優祐訳)
[レビュー]Clyde B. Clason, The Whispering Ear(北見弦)
[レビュー]Laverne Rice, Well Dressed for Murder(北見弦)
[レビュー]Libbie Block, Bedeviled(三門優祐)
◆【作家小特集】焼け跡の革新家・エリザベス・フェラーズ
[エッセイ]エリザベス・フェラーズ:初期のノンシリーズ作品を読む(三門優祐)
[名作短編]エリザベス・フェラーズ「口紅の跡の事件」(三門優祐訳)
◆連載&寄稿
Queen's Quorum Quest(第47回)(林克郎)
A Letter from M.K.(第11回)(M.K.)
海外ミステリ最新事情(第13回)(小林晋)
[名作短編]アントニイ・バークリー「疑惑の効用」(小林晋訳)
[名作短編]アレック・ウォー「裏をかかれた警察」(小林晋訳)
[レビュー]E-Bookmarker(北見弦/三門優祐)
[レビュー]原書レビューコーナー(小林晋)

特集では、前号に前半部分を掲載した「クライムクラブの黄金時代、1928-1940」の続編と併せて、「ダブルデイ・クライムクラブ」発の長編小説を三冊ご紹介します。
また、作家特集として、エリザベス・フェラーズの初期ノンシリーズ長編にフィーチャー。戦前の、いかにも黄金時代末期らしい作品を展開した「ダイク&ジョージ」シリーズから一皮むけて、フェラーズは戦後どのような作品を発表していったか。どうしてもバラバラに評価されてしまいがちな彼女のノンシリーズ作品を系統的に見てみようという試みです。また、フェラーズの未訳短編で初出は新聞に掲載された、ジョウナス・P・ジョウナスものの短編を一つ訳し下ろしました。
安定の連載に加えて小林晋氏ご提供の短編二編、更に、今回から掲載のショートレビューコーナー E-Bookmarker も要注目。こちらは広くレビューを受け付けておりますので、次回以降参加希望の方はぜひご連絡を。

今回も文学フリマ東京での販売後、書肆盛林堂様、古本あらえみし様、うみねこ堂書林様での委託販売を予定しています。会場に来られないという方はぜひこちらも併せてご利用ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

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