見出し画像

WEB Re-ClaM 第29回:クラシックミステリ原書刊行状況(2020/12)

三が日も終わり、そろそろ休み明けというところで「緊急事態宣言」発令か?と騒がしくなっておりますがいかがお過ごしでしょうか。Re-ClaM編集部では、年末刊行いたしました『血文字の警告』がなかなか好評ということで、別冊の次作、また本誌第6号の「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」特集に向けてさらに力を入れていかねばと決意を新たにしております。2021年の刊行予定についても追ってお知らせする予定ですが、まずは昨年の締めから一つ。

★George Bellairs / Death Drops the Pilot (Agora Books, 1956)

本コーナーでももはやおなじみのジョージ・ベレアーズの第22作がこちら。時期としては中期に当たります。本作を評価したバークリーのレビューでは「推理小説作家のうちでも、その新刊を私がいつでも喜んで入手する作家の一人がジョージ・ベレアーズである」としたうえで、初期作と比べるとやや弱いが上出来の作品と褒めていますが、果たして。

★Helen McCloy / The Man in the Moonlight (Agora Books, 1940)

ヘレン・マクロイ『月明かりの男』(創元推理文庫)の原書。マクロイ作品は以前Murder Roomから出ていたものが今では全て品切れになっていますが、Agora Booksは全作復刊するつもりなのかもしれませんね。期待。

Todd Downing / Vultures in the Sky (American Mystery Classics, 1935)

https://www.amazon.co.jp/dp/1613161808

ペンズラー主催の American Mystery Classics の新刊がこちら。ダウニングはミステリ研究家としても知られる作家で、日本では未紹介です。森事典には名前が載っているので、まだ知られているのかも。作品自体は Coachwhip Publication から全作復刊済みですが、手に取りやすい形で復刻されたのはありがたい。

John Dickson Carr / Island of Coffins (Crippen & Landru, 2020)

https://crippenlandru.com/magento/index.php/389-1.html

ジョン・ディクスン・カーのラジオドラマ集です。Cabin B-13シリーズ(戦後の番組)を中心に構成したものだそうですが、内容はまだ不明。ボーっとしていたら特典付きのハードカバー版をうっかり買いそびれてしまったのですが、今からでもソフトカバー版を買うべきかなあと検討中です。

★Clifford Witting / Catt Out of the Bag (Galileo Publishing, 1939)

https://www.amazon.co.jp/dp/B08N59HDTL

先日論創海外ミステリから刊行されたクリフォード・ウィッティング『知られたくなかった男』の原書です。初めて見る版元ですが、日本人好みのラインナップで出し続けてくれるならぜひ応援したいところです。

★Nancy Spain / Death Goes on Skis (Virago, 1949)

★Nancy Spain / Why I'm not a Millionaire (Weidenfeld & Nicolson, 1956)

https://www.amazon.co.jp/dp/B083Z2C4Z4

ジャーナリスト、またラジオやテレビの出演者として才気を発揮しながら、1964年に飛行機事故で47歳の若さで亡くなったナンシー・スペインは小説家でもあった……というまるで小説の登場人物のような人生を生きた作家の作品です。Viragoは、先だって横溝正史の英訳作品を刊行した版元でもあり、皆さんの目にも覚えがあるかもしれません。内容は分かりませんが、ほぼ同時に刊行された自伝と併せて読んでみたくなりました。

それではまた次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?