顧客満足度を向上させるカスタマーサポート

フレデリック・F・ライクヘルドは既存顧客にサービスを継続してもらうことで収益が向上し、コストが低下すると述べました。これは1:5の法則、5:25の法則として知られており、現在も有効とされています。そして、サービスの継続利用は顧客満足度が大きく影響を与えます

Emotion Techなど多くの調査で、サービスに対する顧客満足度が高い場合は継続率、リピート購入率が高いことなどが検証されています。したがって、サービスの継続期間を伸ばし、収益を上げていくにはとりもなおさず顧客満足度が重要です。

それでは、どのようなタイミングで顧客満足度が下がり、またどのような対応をすれば顧客満足度の低下を防止できるのでしょうか。一般にカスタマーサポートの体験が悪かったために解約をするケースは61%にも上り、顧客が不満・疑問を抱いたタイミングでのサポートが重要といえます。

この記事では、顧客満足度を向上させ、収益を生むためのカスタマーサポートの方法について説明しています。

カスタマーサポートで求められている経験とは

お客様はサービス利用に当たっての努力はなるべく低くしたいと考えており、またセルフサービスでの不明点解消を望んでいます。実際に、91%の方がFAQページを通じた不明点の自己解決を望んでいます

しかし自己解決ができない場合、お客様の一部は問い合わせを行います。

問い合わせ対応時に強く期待されていることは、次の4つです。

1. 担当者の親身さ
2. 問い合わせ方法の多さ
3. 問い合わせの迅速な解決
4. 短い待ち時間
5. 過去の問い合わせ履歴を担当者が把握していること

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特に、解決までの時間の短さを望む人は年々増加しています。

メールでの問い合わせで、半日以内の回答を望む人は79%。SNSでの即時回答を望む人は72%へと登ります。なお、電話に関しては即時回答こそ41%の希望でしたが、一方で「即時解決」を期待している人は66%います。

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即時解決や、問い合わせ方法の多さへのニーズから、現在ではマルチチャネル対応としてのチャットの活用、そして動画によるサポートが注目されています。

チャットサポートの特徴

チャットサポートを行うことで、顧客満足度は上昇します。満足度が上がるのは顧客の問い合わせ対応時の期待と、チャットサポートの導入でできることが合致しているためです。具体的にいえば、チャットサポート自体がマルチチャネル対応であるため、そしてチャットサポートであれば複数顧客の問い合わせ対応を同時に実施できるためです。

チャットサポートを取り入れれば、まず問い合わせ方法が単純に1つ増え、そして問い合わせにもアクセスしやすくなります。チャットサポートは通常サービスページの画面右下・左下に常に表示されており、顧客は問い合わせが必要な時にいつでもすぐに質問をすることができます。

その上、チャットサポートはメールより即時性が高くまた複数の顧客に並行して対応できます。顧客はサポート担当から返信があったらすぐに確認し、解消しない場合や不明点の詳細説明を送ることができます。

電話では顧客との1対1のコミュニケーションが必須のため、サポート担当は並行して顧客に対応することができません。また、メールではサポート担当は連絡を並行して行うことができますが、顧客側の内容確認・返信までの時間はチャットよりかかります。そのため、メールでの問い合わせ対応はその解消時間が長くなっています。

チャットサポートのコツ

ここまで述べたように、チャットサポートは導入し、通常の運用を行うだけでカスタマーサポート業務を効率化し、お客様の満足度を上げる効果があるといえます。

しかし、顧客がカスタマーサポートに「担当の親身さ」や「自己解決」を望んでいることを踏まえると、①FAQサイトとの繋ぎ込み、②対応履歴管理を取り入れることで、さらに顧客の満足度を上げるカスタマーサポートができます。

FAQサイトとの繋ぎ込み
顧客が自己解決をしやすいよう、FAQサイトの必要なページを案内するチャットボットを入れることで、顧客にとってのチャットの利便性が更に上がります。また、FAQサイトでは解決しない場合にチャットサポートのつなぐ呼びかけを入れることで、自己解決しなかった後の離脱を減らすこともできます。

対応履歴管理
顧客にとって、どの問い合わせ経路であれ、一度説明した内容を再度繰り返す必要があるのは、よくない体験です。実際にカスタマーサポートへの期待として、「以前の問い合わせに担当者がアクセスできること」も上位に上がっています。
単にチャットがサイト上に表示されるだけでなく、過去のチャットや顧客情報へと紐づけておくことで、顧客が提示する必要がある情報も減り、更にサポートの満足度が高めるといえます。

動画サポートの特長

動画サポートは、メールやチャットと組み合わせて、サポート用の動画コンテンツを提供することを指します。近年SaaS企業ではSmartHR様やカラーミーショップ様が動画サポートを導入しており、それぞれ学習サイトとYouTubeチャンネルを提供しています。

動画サポートの特徴は次の3つです。

1. 理解しやすい
2. 不明点の解消が早い

理解しやすい
動画サポートではサービスのページ・切り替わりや、操作全体が表示されるため、顧客が「どこを」「どのように操作して」「何が起きる」かを一眼で理解することができます。

不明点の解消が早い
問題の解消にあたり、電話サポートでは顧客が見ている画面・行っている操作を逐一確認し、説明する必要があります。メールサポートでは、ヘルプサイトに方法が記載されている場合はコピー・ペーストで返答が可能ですが、記載していない内容は操作手順を文章として作成して送付することとなり、文章を書く工数がかかります

動画サポートであれば、顧客の状況が確認できたら動画のリンクをメールやチャットで送付するだけで説明が完了するため、文章を書く・説明する口数をなくすことが可能です。

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