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折々のチェスのレシピ(40)

「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」をここまで読んでいただいた人ならば、中盤まで拮抗した局面を維持することができるようになっていると思います。その時にどうするか?が次の課題となります。たとえば、

第1図

ソフトやAIの評価値は五分五分です。ソフトやAIに言われなくてもこの対局を指していたら、五分五分かもしかしたら黒はやや指しにくいと感じるとか思います。黒を持ってこの局面を有利な方向に持っていくにはどうしたらいいでしょうか。

こういう時は相手と自分の駒の配置をじっくりと検討します。まず目につくのは白のh4のビショップが浮き駒になっていること、白のクイーンが次の次の手でクイーン取りに当たること、e2のナイトがルークの筋を殺していることがわかります。その中でも黒にとって嫌な位置にいるのがh4のビショップです。ここに相手のビショップが居続けると黒は自分のビショップとクイーンがやや使いづらいです。

そこで、

ビショップの交換を促します。

黒の思惑どおりに交換してくれたら、

クイーンで取り返すと、白はナイトを動かしにくくなります。なぜなら、

たとえばここに動かすと、

黒のクイーンが突っ込んできます。

では、最初の手で白のビショップが逃げたらどうでしょうか。

こうしてナイトを相手クイーンに当てて、ナイトを再進出させると同時に、もう一手こちらに手番をもらいます。

いずれにしてもちょっとずつしか良くはならないですが、互角の局面ではこのようにしてほんの少しでも終局に向けてポイントを稼いでいきます。ジリジリした展開になりますが、根気負けしたほうがだいたいほぼ必ずミスをします。

ちなみに、第1図で、

これでも同じ効果がありますが、白からh3やf3とされた時にナイトを逃げなくていけなくなり、相手に一手与えてしまう可能性があります。些細なことですが、これもポイントを相手に渡さないためには大切なことになります。


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