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折々のチェスのレシピ(186)

下の局面、ビショップを逃す人が多いかもしれません。

g6にビショップを逃しておけば、次に白がナイトでd4を取ってきたとしてもd3のポーンを取ることができます。それはそうなのですが、ナイトの進出を許した上に、継続手が見当たりません。また、d4に進出してきた黒のナイトはc6のポーンも取ることができます(取られないためには黒は何らかの対応が必要です)。

ということで、ビショップを逃す手はかなりの悪手です。ではどんな手がいいでしょうか。白が当ててきたポーン(g4)を取ってしまいましょう。黒はビショップかナイトでそのポーンを取るわけですが、g4の地点で駒を捌き合うと白はキングの頭がスカスカになり、かなり危ない状態になります。

しかし、ここでひとつ問題があります。どちらで白のポーンを取るのか?

最初にビショップで取りにいった場合、この形になっています。これでは先ほどの白のナイトの進出を防いだことにはなっていません。白の守りは弱くはなっているものの、むしろ黒はビショップを捨てただけとも言えます。

ということで、

まずナイトでg4のポーンを捌き、この形になるようにします。そうすると、白はクイーンを動かさない限りナイトを動かすことができません。

もちろん、その後は、

黒からこういう強烈な手があり、この手を防ぐ手段は白にはありません。

駒取りに当てられた場合、第一感としてすぐに逃げることを考えがちですが、逃げないという選択肢も実は有力なことがあります。たとえ駒損になったとしても、今回の例のように優勢から勝勢の形勢を築くことができたりします。


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