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折々のチェスのレシピ(236)

白が黒のナイトとビショップの両取りを掛けた局面です。白はほとんど勝ったと思っているはずです。

第1図

ここから数手進んで白は快調に黒の駒を捌いて、下の局面になります。

白はもう勝ちを確信しています。でも、

チェック&クイーン取りを掛けられてしまいました。白は必ずクイーンを取られてしまいます。この局面をソフトやAIの分析に掛けるとまだ白がやや優勢ですが、実戦的に白がここから勝ち切るのは、かなり難しいと思います。

第1図において、白がほぼ勝勢であることには間違いありません。しかし、両取りを掛ける際に、そしてどちらかの駒を取るまでに、両取りを掛けて一手、どちらかの駒を取るのに一手、計二手が必要になります。その間に相手が何か手を作ってくる可能性があります。

今回の例は、白がそれを見逃してしまったことに尽きます。第1図の白の手(両取り)はチェスの心得がある人であれば100%指す手ですし、なんの問題もありません。しかし、その後の指し回しで白はちょっと間違っています。キングの安全とクイーンの安全をおそらくまったく見ていなかったのだと想像できます。

今回の例は、chess.com で1300点台後半のプレイヤーの実戦から採録しました。将棋には「両取り逃げるべからず」という格言がありますが、今回の例がどうかはわかりませんが、わざとこうした筋を仕込んでくるプレイヤーもいるので、慎重な指し回しと読みが必要です。


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