見出し画像

折々のチェスのレシピ(15)

下の局面、かなり黒が優勢です。

とはいえ、黒に不安がないわけではありません。少し手が進んで下のような局面になることが考えられます。

ナイトとビショップの両取りがかかっています。冷静に対応すればとりわけ問題になることはありません。もちろん、Bxc3とすればいいのですが、できればこのような両取りがかかる駒組みにはしたくないものです。

こうなった理由は明確で、両取りが掛かっているナイトとビショップに紐がついていないためです。

f6のナイトは初めに跳んだままの位置ですが、g7のポーンを使ったことで浮き駒になっています。そしてそれを放置してしまっています。

b4のビショップも早い段階でその位置に展開してからそのままになっています。

優勢(ほとんど勝勢)だからいいじゃないかという考え方もあります。しかし黒は今後、一手間違うと形勢が逆転する危うい局面です。

一度使った駒でも、その時はその位置に展開するのが最善だったとしても、相手の駒の場所が変化するとまるで悪手を指したかのような位置にいることがあります。チェスの形勢の優劣が相対的であるように、ある駒の価値も常に相対的です。絶対的にそこに安住できるマスは存在しないと考えておいたほうがいいです。

今回はほとんど勝負がついた局面を例にしましたが、競っている局面では両取りが掛かった時点で命取りになることもあります。相手の一手のごとに自分の駒の位置を、ポーンを含めてですが、再検討してください。

一度使った(展開した)駒であっても、もっと相手にとって厳しい位置はないか、紐付けしたらその場所でもまだ使えるのではないか、あるいは今のうちに安全な場所に移動させておこう、さらには、駒を交換してしまったほうがかえって得なのではないか、などなど、さまざまな側面から駒の活用を考えてみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?