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折々のチェスのレシピ(101)

白は、些細なことのように見えて、その実、だいぶ大きな影響がある一手を選択しなくてはいけない局面です。

第1図

基本的にはどこからどう見ても白が優勢です。しかしながら、次の一手で白が間違うと差はかなり縮まってしまいます。

第一感として、e5のポーンを使おうと考えた人は、すでにそれなりの棋力がある人です。ただし、2通りの使い方があります。まず、

これは、同クイーンとされた時、白は次の手に困らないでしょうか? あるいは、同ポーンとされても、相手のクイーンの効き筋です。せっかくかなり優勢(ほぼ勝勢)だったのに、この手を指してしまうと、形勢はほぼ互角になってしまいます。

同じポーンを使うにしても、

こっちの使い方のほうがはるかに効果的です。なぜなら、白のクイーンの効きが斜めにも通るからです。黒がポーンで取ってきたとしても、Qd6とチェックをかけることができ、また、黒はナイトを動かしてしまうと、b8のルークを取られてしまいます。この一手で白は、黒にメイトの脅威を与えると同時に、駒を動かしにくいという制約も与えています。第1図の局面において最強といえる一手です。

白は、キャスリングをしておらず守りに不安がありそうですが、黒のクイーンでいつでも一回はチェックがかかってしまうとはいえ、簡単かつがっちり受けることが可能になっています。

攻守ともに先行している白は、第1図の局面において、勝ちを確実にしたいところです。

今回の一手のどちらかを指す前は、よく先の展開を考えないと些細な違いに思われるかもしれませんが、これを間違えると強いプレイヤーには伍していけなくなってしまいます。


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