新・チェスのレシピ #34 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために
白はほとんど抵抗らしきものを受けないでナイトを敵陣近くまで進めることができました。
黒は当然、チェック&ルーク取りを防ぐと思いきや、なぜかナイト取りにポーンを上げてきました。白は「しめしめ」と思い、心の裡では「ちょろい相手だな」と思っているかもしれません。
白は喜び勇んで Nxc7とします。まんまとルークも取れます。大成功です。
本当に大成功でしょうか? 白は黒の次の手をまったく考えていません。
キングを逃げたらQe4で詰んでしまいます。よって、クイーンを差し出さないといけません。白はルークをもらったものの大きな代償を支払うことになってしまいました。
チェスにはこうしたハメ手とも呼べないような手筋がたくさん存在します。少し先を読めば決して引っかからないのに、引っかかるプレイヤーは無数にいます。
そもそもからして、こんなにわかりやすいチェック&ルーク取りを理由なく黒が放置するわけがありません。黒が誘導しているのです。黒からすれば、クイーンが取れるのだから、ルークなど安いものです。
寸前でこの罠に気がついてナイトをc3に戻したとします。しかしすでに形勢は大きく黒に振れています。つまり、白はナイトをb5に跳ばす判断からしてすでに間違った手を指していたことになります。
なぜ白がナイトをこの段階でb5に跳ばす手が悪手なのかといえば、クイーンズ・ギャンビットはその性質上、序盤にキングの左辺に弱点を抱えているからです。ナイトをc3から跳ばすことによって、白はさらに自ら傷口を広げることになってしまいます。
どんな序盤定跡を採用するにしても、自陣の安全をある程度確保してからでないと攻撃というのは難しいものです。無理に駒を展開していくと、今回の例のように逆に急戦を喰らってしまいます。
これはすでに何度か書いていることですが、攻めと受けの手をバランスよく指していかないと、どこかで自壊します。
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