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折々のチェスのレシピ(133)

序盤はある程度はうまく指せるようになったけれど、駒がぶつかる中盤になると悪い手をなぜか選んでしまうということはあるかもしれません。

そこで、下の局面を白と黒の両方から評価してみてください。

まず、黒の視点から見てみます。黒の方針は、キングサイドに白がキャスリングすると見越してg、hファイルのポーンを上げてプレッシャーを掛けたのだと思われます。それを見た白はクイーンサイドにキャスリングをしました。

次に、白の視点から見てみます。クイーンサイドにキャスリングしたことでやや守りに不安を抱える形ではあるものの、センターポーンがかなり堅い形(どのポーンにも紐付けがあります)なので、いきなり危ない形にはなりません。

ここまでの展開をまとめると、黒はg、hファイルのポーンを上げることで序盤の手数を使いました。その間に白はセンターポーンを堅牢するために手数を使いました。どちらが賢い手数の使い方だったでしょうか? というのがこの局面です。

実戦で黒は次に下の手を指しました。

これがとんでもない悪手だということはすぐにわかると思います。黒は白のセンターポーンの圧力を受けて、どうにかしなければと感じたのでしょうが、おそらく一番やってはいけない手を指してしまっています。

g、hファイルのポーンを上げることに序盤で手を使っても黒がものすごく良くなる手筋は基本的にはないと思っておいたほうがいいと思います。黒がg、hファイルのポーンを上げるためには少なくとも4手が必要になります。その間に白は4手分の手を指せることになります。このアドバンテージは白にとってかなり大きいです。


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