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折々のチェスのレシピ(31)

速度計算については何度か書いた記憶がありますが、案外疎かにしている対局が多いので、また書きます。

第1図

白は黒のこの手(Nd4)を受けて、攻め合いに出るか、それとも一旦守るかを考えないといけない局面です。なぜなら、黒は次にNe2を狙っているからです。それは、チェック&クイーン取りになります。

チェック&クイーン取りをやらせたとしても、それを堪えて一手でも早くメイトできる手筋があるのであれば、攻め合いに出ることも可能です。たとえば、

この手(f6)が間に合うか検討します。この後の展開を画像で提示してもいいのですが、対局中は頭の中で考えないといけないので、ぜひ頭の中で考えてみてください。

黒からのNe2でメイトされはしないものの、クイーンを取られて、なおかつ先ほど進めたポーンもナイトで取られてしまいます。ということは、第1図の局面で攻め合いに出るのは無謀どころか、自殺行為だとわかります。

となると、第1図の局面で白はなんらかの受けの手を指さないといけません。二つの選択肢があります。左のルークをe1とするかキングをh1とするかです。キングをh1とすると、黒はナイトをb3としてくる可能性が高いです。そうなると白はルークをどこかに移動させないといけません。それであれば最初からe1としたほうが良さそうです。

これで黒が駒の捌き合いに出てきたとしても、

次にh3とポーンを突くことができる白の形勢がいい状態になります。つまり、きっちりと受けたほうがいい局面を作ることができたわけです。なにも攻めるばかりが攻めではないということです。

第1図の局面からここまで考えるのは大変かもしれませんが、強い人は当然のごとくこの先も考えて手を作ってきますので、この辺りでめげないようにしてください。こういう局面での速度計算はソフトやAIが得意とするところです。局後の検討にソフトやAIが威力を発揮してくれます。


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