折々のチェスのレシピ(313)序盤で指してはいけない手100選
下の局面は、白の初手d4に対して黒がNf6とした対局が少し進んだところです。よく出てくる局面です。
黒は後手番ゆえに手が遅れているので、何かしたいところです。ということで、
勢い込んでc5としたところ、数手先で、
もうかなり厳しくなってしまいます。
第1図で黒が指せる手は限られています。すなわち、
これならば黒の手が続きます。また、
白のc1のビショップが出れない状態にある今であればキャスリングをするという選択肢もあります。なぜかと言えば、
白がc1のビショップを活用しようとしても、上のようにe4とはできないからです。つまり、黒からすると、白のビショップがg5としてくることが当面ないため、その間に手を作ることが可能になっています。
例えば、次に白が、
キャスリングに備えてきた場合、今度はクイーンの効きが止まっているので、黒からはc5もできますし、d5もやはり可能です。選択肢が広がりました。
相手の動き次第で、指せる手、指せない手が微妙に違ってきますが、その呼吸というかツボを押さえてしまえば、そんなに複雑な局面ではなく、ここをうまく指し回すことができれば本格的に駒がぶつかり合う前に有利な展開に持ち込むことも可能になります。
どのような序盤戦術を採用するにしても、その戦型に慣れてしまえば今回の例のようにある程度は次の手を機会的に判断することができるようになります。なぜかといえば、まだお互いに手が進んでいないため、駒の射程や可動域が限定されており、相手の駒の動きも見通しやすいからです。
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