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折々のチェスのレシピ(62)

ここしばらく「折々のチェスのレシピ」をお読みいただいた人には、以下の局面があるテクニックの発揮どころだとすぐにわかると思います。

第1図

はい、そのとおりです。

ルークのサクリファイスです。黒がこのルークをナイトで取ってもキングで取っても、やや手数はかかりますが白は黒をメイトできます。

しかし、ここに至るまでに更なるサクリファイスの連続があったので、少し局面を戻します。

第3図

すでに白の速攻が成功している局面ですが、ここからだらだらと指していると相手の駒も動き出してしまいます。その前に相手を追い詰めてしまいましょう。

ナイトを動かしてチェックをかけます。このナイトはタダで取られる可能性があるため、これもサクリファイスといえる手です。

黒のキングは逃げますが、上のようにまたナイトを捨てます。これの意図は、もし取ってきたら、ビショップをc3から活用するためです。黒がこのナイトを取ってきた局面が第1図です。

これを取らずにd6のナイトを取ってくる可能性もあります。

これに対しては、

こうすれば問題ありません。

どんどん駒を捨てること(捨てることを見せることを含む)によって形勢がよくなるというのは、俄かには確信が持てないかもしれませんが、特に相手のキングを詰ましににいく局面では有効なことが多いです。

また、速攻が成功した時には、もちろん無理攻めは禁物ですが、相手の駒が十分に動く前に攻め手を継続することが重要です。なぜかというと、攻めを優先したことによって、どこかに守りの弱さを抱えている可能性があるからです。今回の例でも、黒が第3図の局面で徹底的に守りを構築し直し、反転に出てきた時に、白はそれほど強い守りをしてはいません。ゆえに、d、e、fファイルの黒のポーンの鎖を切ってしまい、相手の守りを弱体化させるサクリファイスに意味があります。


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