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折々のチェスのレシピ(194)

まだ10手ほどしか指していない局面です。

第1図

一見すると黒の手が遅れているように感じるかもしれません。確かにやや駒の展開が後手を踏んでいるところもなきにしもあらずです。しかし、よく見ると、白から次の手がありません。どのポーンを進めても不利になるだけですし、動かしていないビショップ(c1)をどこに動かしても、

黒はきっとナイトをg4に跳ばしてくるでしょう。すぐには脅威にはなりませんが、次にNe5とされるとかなり嫌です。

つまり、第1図の時点において白は早くも手詰まりになってしまっています。初手から10手目ほどまでは序盤に分けられると思いますが、序盤の作りがまずいとそれ以降は基本的に受け一辺倒になってしまう可能性が高いです。

どうも棋力(スコア)が思うように上がらないという人は序盤の作りを見直すことで改善される公算が大きいです。

中盤は序盤の答え合わせだと何度も書いてきましたが、急戦が可能な時は別として、それ以外は序盤においてはどの駒も働けるようにしておくことが基本であり必須です。その観点から第1図を見直すと、黒は基本に忠実だということがわかります。

黒は後手番ということもあり低い陣形を強いられていますが、攻守どちらにも対応できる体勢になっています。第1図の局面でどちらが指しやすいかは実は一目瞭然です。もちろん勝敗はまだどちらに転ぶかわかりませんが、第1図においてどちらかを持てるとしたら迷いなく黒を選びます。


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