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折々のチェスのレシピ(109)

以前、チェスは相手のミスを待って(誘って)それを咎めるゲームでもあると書きました。ただ、それ前の前提として均衡したゲームを維持しなければなりません。もちろん、自分から緩手・悪手を指さないことが前提となります。

ということで、以下の対局をご覧ください。

白にも黒にも局面を好転させる機会はありましたが、究極的に均衡を目指すと、こんな感じになります。

この対局について、あそこでこうしておけば、とかいろいろとあろうかと思いますが、局面の均衡を保とうとすると、こうして地道な指し回しが必要になってきたりします。ひとつの例として、局面の均衡を保つのがどれだけ難しく、なおかつ、かなり地味な作業であることを頭に入れておいていただければと思います。

将棋に詳しい人ならば、永瀬拓也王座的な指し回しが白にも黒にも見られた一局だと感じられるのではないでしょうか。

最低限、均衡を維持していなければ、相手のミスを誘うこともなかなかできません。また、序盤、中盤、終盤と均衡を維持していれば、相手がミスをする可能性も高まります。

強い相手と戦うようになると、どこかで一手だけ相手がミスをした時にそれを咎めなければ勝てない対局になってきます。それが自分なのか相手なのか、ほんの些細なことで決まってしまうようになるでしょう。

まだスコアがそんなに高くないうちに、たまには一局を通して均衡を維持する指し方を試してみてください。いい経験になると思います。

というのは、ある局面で自分が優勢なのか劣勢なのかの局面判断が次の一手の選択にかなりの影響を及ぼすことがわかっているからです。対局中の局面判断は高段者でも難しいのですが、その感覚を養うには、まずは互角かどうかを直感的に認識できるかどうかの能力が必要になってきます。


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