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折々のチェスのレシピ(411)少しだけ高度な知識をあなたに

下の手はやってはいけない手であることはすでにご存知のことと思います。

第1図

なぜ指してはいけないかは、

この手があるからです、もちろん。

ものすごく初歩的な白のミスですが、ここには結構な教訓があります。白はマイナーピース(ナイトとビショップ)の働きを知らないかあるいはそもそも念頭にないかということです。

ビショップは遠くにその筋が効く駒なので序盤で繰り出して行くのであればそれなりの意味がある必要がありますが、第1図はなんの意味もないばかりか却って自分を不利にしています。

そもそも第1図でナイトがd4にいる時点で白にとってはあまりいい形ではないのですが、第1図で白が指すべき手は、

こちらのほうでしょう。ナイトは自陣の守り駒にもなりますが、相手陣に接近しないとその威力が発揮されません。よって、序盤の早い段階でひとつポジションをあげておかないと相手にとって脅威になりません。つまり、序盤においてナイトはまだ位置が不安定なキングを守ると同時に、攻めにも備えている駒になります

既存の定跡は基本的にこの理屈が根底にあります(例外もありますが)。この理屈を知っていると、極端なことを言えば定跡をまったく知らなくても、序盤は無難に指すことが可能です。

既存の定跡というのは、上のようなこと(太字)は自明のこととして組み入れており、その先をどう指しますかとその定跡を採用する人に尋ねています。いくらたくさんの序盤定跡を知っていても、それだけでは勝てない理由の一旦がそこにあります。

どの定跡とどう付き合うかはその人に委ねられているということです。


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