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折々のチェスのレシピ(224)

白は気持ちよくサクリファイスしたい局面です。

もちろん、

Nxe6です。黒はこのナイトを取ることができません。取ってしまうと次にQxg6から一手一手で詰んでしまうからです。よってクイーンを逃すでしょうが、ルークを取られてしまい、万事休すです。

黒はどこで間違ってしまったのか局面を戻してみます。

この手を指されたとしても白は痛くも痒くもありません。進出してきたナイトを取ってしまってもいいですし、手抜くことも可能なので他に手を進めることも可能です。実はソフトやAIで解析させると黒の最善手は上のNe4だったりします。なぜ相手にとってなんの脅威でも嫌味でもない手が最善手なのか? 答えは簡単です。すでに駒組みを間違っており、他にいい手がないからです。ということは、黒はこれより以前になんらかの緩手か悪手を指していたことになります。

どこにミスがあったのか遡っていくと、なんと、

二手目にすでにまずい手を指していました。クイーンズ・ギャンビットを採用してきた白はこの悪手を誘っているわけですから、わざわざ取りに行くのは自ら落とし穴に嵌まりに行くようなものです。白はこの時点で「まあ、このゲームはもらったな」と感じるはずです。まずは出だしの数手で構わないので、相手の戦術の代表的なものは憶えておきたいところです。

今回の例は実際にはナイトを取ることができないのでサクリファイスと言えるのかどうかわかりませんが、チェスは駒を捨てるゲームであると言ってもいいぐらいです。駒を捨てることによって有利な駒組みを作ったり、あるいは駒を捨てることでしか有利にできない局面であったり、そういう例はいくらでもあります。チェスを始めてから日が浅い人は自分の駒を捨てる(サクリファイスする)ことに抵抗があるかもしれません。しかし、この技術をいつでも使えるようにしておかないと、ある一定以上のスコアから上にはいけないはずです。


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