折々のチェスのレシピ(71)
相手の手を見て、相手の次の意図ややりたいことを察知することが重要だと何回か書いていますが、それに慣れると、今度は相手の意図を逆用することもできるようになります。
例えば、
この局面において、黒は、hファイルにクイーンを移動すれば、後はh2で自分が勝てると考えていると思います。黒はポーンの展開が遅れており、ゲームが長引くほど不利なので早く決着をつけたいと考えているでしょう。
そこで、どうぞそうしてくださいという手を白は指します。
よく局面を見ていない場合、黒はこれ幸いとhファイルにクイーンを動かすことでしょう。
すると、
このようにされてしまい、万事休すとなります。
第2図で黒がh4にクイーンを逃したとしても、数手後には、
こうした形になっていることが想定され、黒はなかなかいい形を作ることができません。これだけ駒が残っている段階で、駒2つで相手をメイトできることは、駒組み次第ですが、普通はないです。それを強引に押し進めていっても、駒が右往左往しているだけですので、黒は別の展開を考えないと苦しくなるばかりです。わかりやすい詰み筋は、相手にとってもわかりやすいため、受けるのも簡単です。
黒としては、もう少し局面を複雑にしないとチャンスすら訪れません。
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