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折々のチェスのレシピ(11)

(前回からの続きです)

次に多いのが、

Nf3ですので、これに対する応手を検討します。dファイルのポーンは元々クイーンと紐づいているため”強いポーン”だということは何回かご紹介しました。そこで、

dファイルのポーンの前進を牽制しておきましょう。次に白の手で多いのは、

Bf4です。これは前回同様、

第4図

相手の意図を先回りしてg5の地点を抑えてしまいます。もしf4で止まらずにg5までビショップを進めてきた時には、

Be7ときちんと受けておきます。白がBxf6とナイトを取ってきた時に同クイーンや同ポーンとしなくていいように備えている意味がありますが、これはただ単に受けているだけでなく、黒としてはビショップの可動域が広がっており、悔しい手ではありません(なぜ同クイーンや同ポーンが好ましくないかは「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」で何度かご紹介しています)。

さて、第4図からは、

e3としてくるプレイヤーが多いです。これは自分(白)のビショップの動きを制約する手です。それに着目してf4のいるビショップを捌いてしまうことが可能です。このビショップが黒にとってちょっと厄介なことは以前書きました。ということで早々に捌けるなら捌いて置いていい駒です。

Nh5として取りに行きます。これによって白はこのビショップを交換しない選択肢は無くなりました。交換するにしても現地(f4)で交換するのは普通は嫌います。なぜなら、

交換後のこの形が白にとって好ましいとは言えないからです。そこで、

交換するならg3のほうがまだましだと考えて引いてくるのが賢明なプレイヤーです。黒はここでビショップを取ってしまってもいいのですが、今のところいつでも取ることができるので、一手もらったことを利用して他の手を指します(この考え方は序盤に限らずいつでも利用できます)。

黒の次の手はいくつも考えられます。まず、

Be7としてビショップの可動域を広げながら、キャスリングに備える手です。どちらかと言えばやや受け重視の手です。

それとは別に、

チェックをかけて相手の出方を見る手もあります。

ポーンで受けてきたら、

e7まで退きます。

間違ってもビショップをh5に退かないようにしましょう。なぜなら、

先ほど取ろうとしたビショップが逃げられてしまうばかりか黒の形勢が一気に悪くなってしまうからです。

Bb4とした時に、白が、

ナイトで受けてきたら、取ってしまいます。

この後、先ほど放置しておいた、g3のビショップを取ります。

白はそのナイトをどちらのポーンで取り返したとしても、

c、gファイルにダブルポーンができてしまい、好ましい形ではなくなりました。黒はポーンやナイト、ビショップの展開が遅れてはいますが、キングを守りにくいのはどちらかといえば白であり、この後黒が相手の意図を先回りするように駒組みをしていけば十分に指すことができます。このように、特に序盤はどの一手にも大きな意味があります。

ということで、また続きます。白の初手d4に対する指し方の詳しい説明はまだ2回目ですが、ここまで知っているだけでも白がd4としてきた時に指すのが楽しくなったのではないでしょうか。


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