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折々のチェスのレシピ(166)受けの極意#6

改めて言うことではないかもしれませんが、チェスのおける序盤は攻撃の準備をしつつ、キングの安全を確保するための大切な過程です。その意味で、受けの技術が問われているともいえます。

下は、キングの安全を確保しないとどうなるかという悪い見本です。

初形でキングはあまり安全ではない位置にいます。弱点としてよく知られているのが、上の例でずばり狙われてしまったf7です。ほかにも、キャスリングの前にセンターポーンが崩壊すれば上からの攻撃に晒されたりもします。

そういった諸々を踏まえて序盤定跡が整備されてきました。必ずしも既存の定跡をきっちりなぞる必要はありませんが、まったく新しい指し方をするにはそれなりのリスクを覚悟しなくてはなりません。

「折々のチェスのレシピ」を書いている人は、すでにある定跡にちょっとアレンジを加えて指すことが多いです。というのは、ソフトやAIの発達で既存の定跡が必ずしも完璧ではないことがわかってきたからです(元々瑕のない定跡はありませんが)。

ということで、序盤においてすでに相手の攻撃をどう受け止めるかという受けの技術が試されています。将棋と違い、いきなり駒がぶつかることもあるのがチェスです。高段者(高スコアの人)になると相手が2、3手指しただけで相手の技量をだいたい推し図ることができると言われています。そのぐらい序盤の一手は大切であり、隙を見せればつけ込まれ、守りを優先しすぎると攻め手に制約を受け、互いに完璧に指すとドローになるという、何とも厄介なゲームです。


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