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折々のチェスのレシピ(310)序盤で指してはいけない手100選

下の局面、実はすでに白は形勢を損ねています。しかし今回はそれは不問にしてみます。なぜかというと、答えのその前に、まずは問題の局面をご覧ください。

第1図

この局面、シシリアン・ディフェンスに対して白がやってしまいがちな駒組みのひとつです。多くのプレイヤーはここでまたそのミスを重ねます。それを知ってもらいたくて、今回はこの駒組みまでは一旦不問としました。

で、その悪手が下です。

これは黒が待ち焦がれていた手です。どうしてかといえば、

このように、Nd4があるからです。これと似た手筋は以前もご紹介していますが、白にとってはもう取り返しがつかないほどの厳しい手なので、この機会に頭に染み込ませてください。

白はどこかにクイーンを逃しますが、

d3以外の場合、まずb5の地点で駒を捌きあい、そして上の局面になります。白はセンターポーンを捌かれてしまい、今後の展開に大きなデメリットとなります。これを避けるために、ではd3にクイーンを逃したらどうか?

a6からポーンでどんどんビショップを追いかけられてしまい、上の局面となり、さらに白はどうしようもなくなります。

では、第1図で白はどうすればよかったのでしょうか。上の展開を知っていれば、クイーンをd1に戻しておくのが第1図における最善手です。だったらそもそもクイーンを出さなければよかったのではないかと思われるでしょう。そのとおりです。白の駒組みのまずさは、用もないのにクイーンを早繰りしたためです。

クイーンの早繰りが基本的にはデメリットしかないことは、「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」で何度もご紹介してきましたが、流れとして見ると記憶に残りやすいと思いますので、以下に一例を挙げておきます。

白が最善の手を指しているわけではありませんが、黒のクイーンを逃げている間に白が着々と手を進めていることはよくわかるかと思います。


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