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折々のチェスのレシピ(19)

形勢が優勢や勝勢になってもきっちり勝ち切ることがなかなか難しいのがチェスや将棋です。ソフトやAIの評価で圧倒的な勝勢となっていてもメイト(詰み)までにはまだ20数手あったりして、とても常人には読み切れなかったりします。

そこで自分の駒も捨てるけれど相手の駒を減らして局面をシンプルにするテクニックは「チェスのレシピ」か「新・チェスのレシピ」でご紹介しました。今回はそれとは異なる考え方を検討してみます。

すでに黒勝勢といえる局面です。しかし、そんなに短手数で勝負が決まる局面でもありません。また、相手の駒を減らそうにもそうした手はすぐにはなさそうです。ではどんな手がいいでしょうか。ちょっと気が付きにくいかもしれません。

b4が好手です。白はこのポーンがもうひとマス進出するとビショップが死んでしまうのでなんらかの対応が必要になります。

取ってきたらナイトで捌いてしまいます。ナイトが進出できるとともに、右辺がスッキリして黒は駒の働きがよくなりました。これで黒の攻めが加速します。

ポーンを上げてきたら右上で固まっている白の駒はもうほとんど仕事をしていません。加えて、黒のキングを直射していたビショップの効きが止まりました。ということで、b4とすることで、黒にとって悪いことは一つもありません。ここから先はおそらく一回もチェックを掛けられることなく勝つことができるはずです。

一手間かけるだけで随分と勝ちやすくなりました。


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