折々のチェスのレシピ(396)少しだけ高度な知識をあなたに
今回はキャスリングのちょっとしたコツみたいなものと、それとの組み合わせで
相手のミスを誘う手筋です。
白にはさまざまな選択肢がある局面ですが、
ここでクイーンサイドにキャスリングをしてしまいます。なぜかというと、黒がキングサイドにキャスリングしたいとしてもまだ手数がかかり、クイーンサイドに
キャスリングしたとしてもコビンが開いていてキングの守りが弱い状態だからです。
次に黒がどのような手を指してくるかわからないものの、
相手の駒が近接する前にキングをb1に移動させておきます。これでクイーンサイドにキャスリングした際の弱点であるa2の地点をキング自身でカバーしておきます。
この後もまた相手の手はわからないものの、
どちらのナイトを繰り出してきたとしても白にはg4という秘めた狙いが
あり、
黒はどうしてもf3にいるクイーンをナイトで狙いたくなるものですが、一旦逃してf4とすると黒をかなり厳しい状態に追い込むことが可能です。
今回ご紹介したキャスリングの例は、キャスリング+もう一手かかることから早い段階で決断することになります。よって、その手数がちゃんと確保されているかどうか、さらには相手の駒の進出を有効に止める手があるかどうかをきちんと計算してからでないと指せませんが、うまく決まると序盤で有意なリードを奪うことができます。
第1図では白にこれといった有力な攻めの手筋がありません。そんな時は守りを堅めつつ相手が困るような仕込みができると理想的です。