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折々のチェスのレシピ(248)ダニッシュ・ギャンビット

厄介というのは、

この場合です。どのように厄介か、ご覧ください。

ここまでミスなく指してようやく白が目に見える優位を築くことができます。しかし、ここから先も白にこれといった目覚ましい手筋は存在しません。これがダニッシュ・ギャンビットの弱点と言えるでしょう。この弱点をなんとかできないか随分考えてはきたのですが、今のところいい案はありません。ひとつ幸運なのは、上の手筋(gifアニメーション)のような最善手を黒が指し続けることはほとんどない、ということです。

ただ、幸運を期待して指すわけにはいかないので、ダニッシュ・ギャンビットを採用する際には、この弱点を正確さで補うことが必要です。どんな序盤定跡も完璧ではないので、大体どの定跡にもこのぐらいの瑕はあります。

一方、ここには重要な気づきが存在しています。相手がダニッシュ・ギャンビットをやってきた時の対応が学べるということです。そう、相手がダニッシュ・ギャンビットをやってきた際には、Nc6がどうやら一番相手が嫌がるであろうことです。こうして、ひとつの定跡を研究すると、その定跡の相手になった時の対応も知ることができます

ところで、Nc6でなにか気がついたことがないでしょうか? この「折々のチェスのレシピ」で随分前に何回かに分けて書きましたが、白がクイーンズギャンビットできそうな場合、つまり初手d4の場合、黒からNf6とする手筋をご紹介しましたが、それとどこか似てはいないでしょうか。チェスの序盤定跡は、こうしていくつかを詳しく知ると、いくつもの似ている局面に出会います。それらを知っていくと、ある日、チェスの全体像がおぼろげながらにでも、見えてくるはずです。それが、大局観につながります。

これでダニッシュ・ギャンビットを使う準備が整いました、と言いたいところですが、まだ検討しなくてはいけないことがあります。それはまた次回に。


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