見出し画像

折々のチェスのレシピ(160)

下の局面は誰がどう見ても黒の勝勢です。

第1図

昨日チェスを始めたばかりの人でも黒が勝ちだと言うでしょう。

終局図が下です。

目を疑うかもしれませんが、これもチェスです。第1図であれだけ勝勢なのになぜ黒が負けたのかを一言でいうのは困難ですが、各駒の働きがかなりよくないことは確かです。しかし、それを少しずつよくしていけば負けることは普通はあり得ないです。とはいえ、すぐによくしていく手筋はなく、その間に白が手を作っていくと、大駒がまだ無傷で残っているため、黒を苦しめることはできそうです。

しかし、普通は苦しめるまでで終わってしまうはずでしたが、

ここで黒は痛恨の手を指してしまいます。サクリファイスしてきたルークを取ってしまいました。それからは終局図まで一直線です。ここでは、Bxh2として次にクイーンでルークを捌いてしまえばいいだけですが、今取らないとあと一手で詰みだと思うとつい取ってしまいがちです。

ということで、受けの技術も磨いておきたいところですが、一般的なチェスプロブレムなどは攻撃が主要なテーマなので、受けを鍛える手段があまりないのも現実です。そのためか、ここであらかじめ受けの手を指しておけばほぼリスクがなくなるのに攻めを優先してしまったり、今回のように詰めろ逃れの有効な手があるのに気がつかなかったり、受けの技術を磨けばもっと勝てるはずなのにみすみす勝ちを逃してしまうプレイヤーをしばしば見受けます。

そんなわけで、次回からは受けを主なテーマにしてしばらく続けたいと考えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?