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折々のチェスのレシピ(129)

今回は、駒がぶつかる中盤には色々な選択肢があるというお話です。

第1図

白が初手d4として、黒がNf6とすると、時には上のような局面が出現します。ここでの黒の次の一手にはさまざまな考え方(選択肢)があります。

まず、これは「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」で何度か言及したように、

あらかじめg5の地点を受けてしまい、なおかつキングがキングサイドにキャスリングした場合に逃げ道を用意しておく意図もあります。もちろん悪い手ではありません。これはいうまでもなく受けを優先させた手です。

今回はそれとは別に、もう少し積極的な手をご紹介します。

第3図

e4の地点で駒を交換してもいいよという手です。

もし白が受けてくれたら、上のようになっています。こうなると白は、まずf3のナイトを動かしにくくなります。なぜなら、Bxg2とされてしまうからです。また、e4にビショップが居座られると、白は1ランクでクイーンとルークが動かしにくくなります。こういう楔のような駒を作っておくと、後々の駒組みが楽になる可能性があります。

また、第3図で白が駒交換に応じて来なかった場合には、黒はc3のポーンを取れることになります。そこで白がc3のポーンを守ろうとクイーンかルークで紐付けしても、それは白にとってあまりいい形にはなりません。

黒にとって劇的に局面がよくなる手ではないですが、こんな手筋もあると覚えておくといつか役に立ってくれるはずです。そもそも、第1図の局面で劇的に黒がよくなる手は存在しないので、自分が指したい展開を考慮して、こうした選択肢が使えないかどうか検討してみてください。これといって目覚ましい手が存在しない局面では、実は結構ミスが出やすいです。なぜかと言えば、それなりに先の局面をあらかじめイメージして手を選ばないといけないからです。


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