折々のチェスのレシピ(349)中盤戦
ある程度定跡化されている序盤と比較して中盤は手が広い局面が多いです(あるいは手が広く見えてしまう)。下の局面もそうだと思います。
白がビショップの可動域を拡大し、なおかつキャスリングにも備えてきました。白のキャスリングを阻止する手はもうないので、キャスリングをするだろうという前提で駒組みを進めます。
とはいっても何から指していいかなかなか難しいかと思います。黒もクイーンの効き筋にキングが入っているのでここでキャスリングをする手もないわけではありません。しかし、d7の地点には現段階で3つの駒の効きがあるので、急ぐ必要はなさそうです。そこでなにかいい手を作りたいところです。
eファイルのポーンを進めていけば両取りがかかりますが、まさかそれに引っかかることはないでしょう。では、
白のクイーンを咎める手はどうでしょうか。こうするとおそらくc2に逃げると思われますが、それよりも現地点にクイーンがいてくれたほうが仕事をしていないので黒には好都合です。よってこの手は却下できます。では別に、
眠っているナイトを動かすのはどうでしょうか。これはこのナイトの継続手がなく白にとって脅威でも何でもありません。また、後で説明したい手を自ら阻害してしまっています。よってこれも却下されます。
残るのは大体2つの手です。
クイーンを使えるようにしておくことは一考に値します。これは白のナイトの動きを牽制しつつ、白の駒組み次第ではaファイルにもbファイルにも出ていく含みがあります。また、
白がキャスリングをするであろうサイドにあるナイトを捌いてしまう手もあります。これを取り返すにはポーンしかありませんので、キャスリングした際に守りが弱くなります。したがって白はキングサイドにはキャスリングをしない可能性も出てきます。
下の2つのうちの手のどちらがいいかは一概にはいえませんが、どちらもやることになるはずです。手が広そうな局面に見えても黒が選択して形勢を損ねないのは、キャスリングを入れても、つまり3つの手しかないことになり、この3つの手以外を選ぶと若干ですが白が指しやすくなりそうです。
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