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新・チェスのレシピ #15 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために

「チェスのレシピ」では何度か簡単にですがダッチ・ディフェンス(レニングラード・ダッチ)をご紹介しました。慣れないとなかなか指しにくい序盤定跡かもしれません。ひとつの理由として攻め手が遅れるという点があるかと思います。

ダッチ・ディフェンス(レニングラード・ダッチ)の出だしから、必ずしもレニングラード・ダッチに持っていかなくてもいいのですが、例えば、

第1図

こんな駒組みになることもあるかと思います。次に黒はBe7かNf6としてキャスリングに備えるのが定跡です。というのは、いずれにしても序盤は相手をまずは受け倒すような方針でいきます。白の駒組みの瑕(キズ)を見つけた時に機を逃さずに攻撃に移行します。

数手進んだ進行例です。

第2図

この形はよく出てきます。一見、白の手が進んでいるように見えますが、これで形勢は互角です。なぜこの形がよく出てくるかというと、第1図から黒がこのように駒組みを進めると、白はほかに手がないのでおおよそこの形になります。ほかにも似たような形になることがありますが、これが基本で互角ですので、この形を覚えておくといいです。白がここまでに違う対応をした場合には、ミスや緩手の可能性があります。

第2図はこの一局の岐路になります。次に白は手番がきた時にキャスリングする可能性が高いですが、してこないかもしれません。いずれにしても黒は、先々を見据えた手を指したい局面です。

端にナイトを設置するのは基本的にはいい形とはされていません。白のビショップを取る意図もとりあえずはありません。なにがしたいかというと、

f6にビショップを設置したかったわけです。先ほどのナイトの戻りがないので大丈夫かと心配されるかもしれませんが、当面白がこのナイトを取る手はないです。f6のビショップは、いずれ中央の駒が捌けた際には白のキングを狙えるようなマスを占めたり、a1のルークを狙ったりする駒になります。

黒はb8のナイトの活用が遅れており、手が進んでいない印象もありますが、ここまで黒が駒組みをしてしまうと、次に白は手に困るはずです。白を持って次の手を考えてみてください。すでに動かした駒をさらに動かすとどれも白の形勢を損ねることがわかると思います。

一方の黒は、この後の白の手によりますが、c5やNc6などまだやりたい手が残っています。白を自陣付近に押し込めたまま黒は手を作っていくことができます。といってもこれで形勢はほぼ互角です。

実戦ではここまで黒がうまく駒組みできることも少ないです。要点は、黒がこの形にするという意図で指していくと、その過程で白はおそらくどこかでミスをしたり、緩手を指したりするであろうことです。そこをすかさず咎めます。今回のように大局観を持って指していくと、その途中の相手のミスなどに気づきやすくなります。

ネット対局をしている人は10分切れ負けで指すことが多いと思いますが、スコアが1300〜1500あるいはそれ以上の相手と少なくとも互角に戦うには、今回ご紹介した中盤のイメージとそこまでの指し回しぐらいは事前に頭の中にないと時間が足りなくなってしまうと思います。

ダッチ・ディフェンスがどうも苦手という人もいるようなので、別の手の進め方もいずれご紹介します。


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