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折々のチェスのレシピ(244)

対応が難しい手を指されることがあります。

第1図

まずすぐにわかるのは、このポーンは取れないということです。取ってしまうと、

ほとんど負けが確定します。では、進めたらどうでしょうか。

単にポーンを差し出しただけで、継続手がありません。すると、放置して別の手を探すことになります。すぐに思いつくのは、

これでしょうが、少し進むと、

こうなっており、白がなにか得をしたということにはなっていません。では、

先にナイトを捨ててしまう手も考えてみます。

ビショップを取り返すことができるため、駒損するわけではありませんが、これもポイントを稼いだということにはなりそうにありません。

こうなると、第1図の黒のc5はなかなかの妙手だということがわかります。まずはそれを誉めるべきですが、となると、白は第1図より前にどこかで駒組みを間違っていた可能性が高くなります。第1図の局面をソフトやAIで分析させると、白が優勢なのですが、優勢を維持し拡大するのにはちょっと難儀な展開になってしまっています。

白の緩手をあえて探すと、

序盤のこの手は無理筋です。黒はNg4とすることもd5とすることもでき、進出してきた白のこのポーンは黒としてはいずれ駒組みの段階で捌くことが比較的容易です(これについては以前ご紹介済みです)。中盤で優勢を築いたからいいじゃないかという考え方もあり得ますが、序盤でミスをすると、中盤以降、今回の例のように、優勢だけど決め手が見つからない、守りにやや難がある、あるいは相手の妙手を誘ってしまう、またはカウンター攻撃を食うなど、どこかで難所にぶつかりやすくなります。中盤以降、どうもうまく指せないと感じている人は、序盤を見直すとその原因が見つかったりすることがあります。何度も言っていますが、中盤は序盤の答え合わせです。




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