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折々のチェスのレシピ(391)少しだけ高度な知識をあなたに

トッププレイヤーも悩むという局面です。というより、トッププレイヤーだからこそ悩む局面だと言われています。

第1図

別にトッププレイヤーでなくてもよく出会う局面です。

黒からは守りを重視するならh6、少し積極的に行くならばd5というのがよく知られた手筋です。ではなぜトッププレイヤーはそのどちらかの手を指さずに悩むのかというと、どちらもかなり先まで研究が行き届いており、黒としては指しにくいのがその理由です。

そこで、

第2図

黒はNa5という手を指すことがあります。次に白からは、d4、b4、Nd5がすぐに浮かびますが、そのどれを指されても基本的にはNc6と黒はナイトを戻します。例えば、d4,Nc6,d5と進んだら、

初形の位置までナイトを戻してしまいます。黒はまったく手損ばかりしていないか?と思われるのは当然です。しかしながら、白がビショップの活用を目的にb3などとしてくる可能性がありますが、

これでまた相手に手を渡します。黒は手損をしているようではありますが、この局面でAIの評価値は互角です。このポーンを取ってしまうと、

この形になってしまい、白は攻めの糸口がなかなか見つからないことになります。

第2図で白がb4、Nd5としてきても黒が適切に対応すると、やはり白が悩む局面になります。黒は手損をしているように見えるのですが形勢自体にはほとんど動きがない(互角)という不思議な手順です。

第1図やそれに似た局面でうまい手がないと感じていたら、Na5以降の手筋を研究するといいかもしれません。なかなか研究のしがいがあります。


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