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折々のチェスのレシピ(339)中盤戦

チェスの中盤は(当たり前ですが)序盤ほど再現性が高くはありません。よって様々な駒組みや駒の損得、手得手損、無数のパターンが出現しますが、それらのパターンを大別して指し手の方針を決めていくことは可能です。演繹的に読み込んで次の一手を考えることも必要ですが、大きな括りでざっくりと局面を把握すると大きなミスをしなくなります。

もうメイトやそれに近いところまで読んで指し手を考えたい局面です。実は黒が一手ミスをするとメイトできてしまいます。すなわち、

ここで黒がビショップを捕獲しようなどと思うと、

もちろん、

ゲーム終了です。

ただしこの手は相手のミスを前提に組み立てているので王道とはいえません(つい指したくなってしまいますが)。では、相手がミスをしないとしても、最初のBxa7という手は有効なのでしょうか。

白はここで、

キャスリングをすればいいとは一応はいえます。しかし、第1図を再掲しますので局面を比べてみてください。

黒はほとんどの駒の展開を阻害されており、かなり窮屈で手詰まり感が漂っています。こちらのほうが黒にとって嫌なはずです。黒に余裕が生まれたその原因はe4のポーンをとらせてしまったことにあります。よって、第1図では、Bxa7に代えて、

ポーンを支えつつ、クイーンの進出を図るこちらの手のほうが優れているといえます。黒は当然なんらかの受けの手を指さないといけないため、また白に手番が回ってきます。

今回は、相手の駒の展開を阻害するという観点を得ることができれば、次の手は自ずから決まるような局面でした。


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