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折々のチェスのレシピ(48)

かなりクローズドな展開です。

第1図

黒から打開の方法を探してみてください。最も悪い手を以下、連続で示します。

見事にナイトのサクリファイスが決まってしまいます。

答えを言えば、第1図の時点において黒に打開の方策はもはやありません。互いに駒を紐付けながら堅実な駒組みを行なっている白に対して、黒はポーンを闇雲に出して行っているに過ぎません。

しかし黒がどこで局面を悪くしてしまったのか考えてみます。

まだ数手しか指しあっていませんが、すでに黒には破滅への萌芽が見られます。なぜ黒はクイーンを進出させたのか、その意図がまず不明です。クイーンを虐められる形で白の駒組みを手伝っているに過ぎません。

これは白の最善手ではありませんが、こうされただけでも黒はせっかく一手かけて出たクイーンをどこかに逃さないといけなくなります。最善の逃げ場所はd8、つまり元々の場所です。それ以外の場所に移動させると、またクイーンを狙って手を作られてしまいます。

二手かけて行って帰ってくる手が有効でないことは言うまでもありません。

クイーンは早く繰り出し過ぎてもまずいですし、遅れても攻めに迫力を欠きます。なかなか難しいことではありますが、その頃合いの体得がチェスの強さ弱さを分けるひとつの要素でもあります。


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