Web3 vs 鶏と卵
Web3あるあるとして鶏と卵問題があります。
例えば
例①:ブロックチェーンを社会の共通データベースとして使う
例えばブロックチェーンを社会の共通データベースとして使うという話。
ブロックチェーン上にある情報は、スマートコントラクトで高度に融合させたり、金流と結びつけることができます。
ただ、例えば不動産取引をブロックチェーン上で効率化させるとして、そこで扱える物件数が少なければ利用者はなかなか増えないわけです。
また情報は資産なので、既に多くの情報を抱えている事業者からすると、それをわざわざ誰からも参照できる形(=パブリックなブロックチェーン上)で公開するモチベーションは湧きづらいです。
誰が情報をブロックチェーン上に載せるんだ問題を含め、なかなか難しい問題です。
例②:NFTを活用したマーケティング
NFTをダイレクトマーケティングに使うという話もそうだと思います。
ユーザーがリアル/オンラインで集めたNFTを覗いて、その人の趣味嗜好を推測してマーケティングを行う。
ただNFTの配布箇所も保有者もかなり狭い社会において、他のマーケティング手段を差し置いてNFTを使ったマーケティングをするかというとなかなか難しいところです。
情報の取込みが大変
Web2の世界に情報が集積されてしまっているので、それをWeb3上にリプレイスするのは並大抵ではありません。
もちろんオラクル(ブロックチェーンの外の情報をブロックチェーン上に持ってくる技術)等の仕組みを使って外部参照することで解決する点もありますが、そうするとWeb2側の誰かが管理している情報を「信用する」必要が出てくるので、Web3の根本が揺らぐこととなります。
DID/VCと鶏と卵
ちなみに当社もWeb3に近い領域で事業をする中で、鶏と卵問題をよくぶち当たります。
何故ならVCは「発行者」と「検証者」という二つのステークホルダーがいないと成り立たない仕組みなので。
例:キャリア情報のVC化
例えば、研修の受講履歴やキャリア情報をVCとして残し、それを転職時やタレントマネジメントとして利用してもらおうという話。
発行する側の人からすると、今の社会においてそういった情報が特に活用されていない中で、VCを発行するメリットがあるとは思えないわけです。
逆に検証する立場の人からすると、ごく一部の研修情報やキャリア情報がVCになっていても「じゃあそれを参照する仕組みを導入しましょう」とはなりづらいわけで。
どう対応するべきか
鶏と卵問題に直面した時
・スタートアップ的に新たな価値創出としてトライするシーン
・実現が非現実的だとして見送るシーン
のどちらもあります。
いきなり社会全体で仕組みを実装するのではなく、より小さな枠組みの中で発行者と検証者を集めるみたいなステップを設けることも必要です。
「これ鶏と卵だから無理だよね」で終わらせず、実現させるステップをひねり出して社会実装していくのが事業を創造する者の腕の見せどころですね。