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才能は存在するのか

間違いなく、存在します。

大谷翔平選手よりも練習量が多い野球選手は居るでしょうし、それどころか練習量は多いのにプロにすら成れなかった人も沢山居るでしょう。

残酷なまでに才能は存在します。


僕が中学から高校まで青春を捧げた水球の話を書きます。

僕が中学3年生のころに水球クラブに入ってきた1学年下の後輩が、のちに日本代表の主将となり、オリンピックにも出場しました。

彼は中学2年生から水球を始めたわけですが、その年に一緒に全国大会に出場し、そこで埼玉の強豪の高校にスカウトされました。
※ 九州は中学チームが少ないのですぐ全国大会

水球を始めて一年未満で強豪校にスカウトされた彼は、当然のように日本代表になりました。

彼を一言で表すなら「モノが違う」。

僕は中学から競泳と水球を始めて、競泳では県大会で上位に入ったり、水球では国体選抜のスタメンだったり、高校の水球部で主将だったりしていました。

僕だって県内では目立つくらいのセンスはあって、人一倍の努力もしていたつもりです。

しかし彼は別物というか、別次元。

軽自動車が多い道をクラウンで走っていたら、フェラーリにブチ抜かれた感じです。

そもそも積んでるエンジンが違う。
いくらチューンしても、クラウンでフェラーリには勝てない。

水球を始めて半年の彼に対して、3年目の僕が「こいつには勝てない」と認めざるを得ない。

これが才能だと知りました。


高校時代は、鹿児島と福岡の高校が全国で上位を争うほどの強豪校でした。
彼が入学した埼玉の強豪校にも勝っちゃうくらい。(たしか鹿児島の高校が全国制覇した)

僕の入学した熊本の高校は、県大会で1〜3位で九州大会に出場できたりできなかったり。

だから九州大会に出られたとしても、常に1回戦目で惨敗。
高校3年間で、九州大会では1勝もできませんでした。

高校3年生のころ、九州大会の1回戦目で鹿児島の強豪校と対戦したときのこと。

正直、試合前から怖くてたまりませんでした。

同じ高校生とは思えない体格と筋肉。
試合前のウォームアップから圧巻のプレー。
3倍くらいの選手数でベンチに入りきれてない。

僕は主将だったのでチームを鼓舞しましたよ。
「怖い」なんて口が裂けても言えません。

試合が始まると、もはや公開処刑。

1ピリオド目で取り返せない点差をつけられる。

スタメンがベンチに戻り、控えの選手たちに総入れ替えされる屈辱。
それでも点差を広げられる屈辱。
主将の僕が諦めるわけにはいかない。
必死に喰らい付いて、ボコボコにされ続ける。
蹴られ殴られ体中が痛い。
身体と口の中は傷だらけ。

カッコ悪くて、必勝の万羽鶴を折ってくれた女子マネージャーの目なんてとても見れない。
情けなくて惨めで、旅費を出して応援まで来てくれた保護者への挨拶で涙が止まらない。

でもね、そんなことは試合前から分かっていたことなんです。
なんなら、中学生の頃から才能の差や、全国区の格の違いを目の当たりにしていました。

最初から知ってたんですよ。
自分達は九州大会を突破できない、県大会どまりの実力だってことくらい。

高校受験の前に、父親に「水球がしたいから私立高校に行かせてください」と頭を下げたときも、全国に出たいとか、埼玉に行った天才と戦いたいとか思っていたわけじゃない。

水球が大好きで、今より少しでも上手くなりたかっただけなんですよね。

そして仲間に恵まれたからこそ、高校3年までその気持ちを保っていられた。

本当に最高の青春だったなと思います。


今となっては県大会でさえ苦戦している母校の高校生たちに向かって、

「水球、最高に楽しいよね!」

と正面から言えます。

もし才能がなくて、限界が見えていたとしても。
キミたちが成長できるのなら、
楽しくて悔しくて輝かしい青春を過ごせるなら。

全力でやってみなよ。
ほら、楽しいだろ?

キミは天才じゃなくてもいいだろ?


たかが部活に青春をかけられる狂気が好きだ。




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