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未読のLINE

LINEの誕生のきっかけは、2011年に起こった東日本大震災でした。
10年足らずで国内ユーザー数が8600万人と国内屈指の普及率を誇るようになりましたが、その間、各地の災害で活用され、社会インフラとしての役割も担っています。

LINEヤフー株式会社のサイトより

〈震災直後、携帯電話の基地局は、東北と関東の計13万2000局の2割超が地震や津波、停電で動かなくなった。通信が混み合い、全国で通話やメールがしづらくなり、安否確認ができない状況が続いた〉

 当時、LINEの前身企業ネイバージャパンの新人社員だった稲垣あゆみ氏(現LINE上級執行役員)は家族と連絡が取れなくなった。「なぜうちにはメッセージサービスがないのか」。稲垣氏は社内で新規アプリ開発の検討を担当していたが、手軽にメッセージをやりとりできるサービスが求められていると直感した。

 社内の意思決定は早く、すでに検討が進んでいた他のサービスよりも優先して、メッセージアプリ開発に専念すると決まった。

 約20人が昼夜を問わず開発に明け暮れた。サービス提供は開発を本格的に始めてからわずか2か月後の6月23日だった。

読売新聞オンラインより

 今日は3月11日。
 13年前の悲劇をキッカケに、今は多くの人が便利に利用しているLINEが生まれた。

 とてもありがたいアプリだ。

 でも、いつまで経っても既読にならない画面は…胸を刺す。

 『既読は生存のサイン』と、誰かが言っていた。
 じゃあ…未読は?

 既読スルーがどれほど嬉しいものか、私は今年になって初めて実感した。

 2024年元旦から、何度メッセージやスタンプを送っても既読にならない画面を見つめた。

 大切な人を亡くした方々は、胸を引き裂かれるような思いで未読のLINEを見た事だろう。
 私もその辛さが身に沁みて理解できる。

 見るたびに辛いのに、ずっと見ずにはいられなかった。
 もしかしたら既読になるかも?なんていうドラマのような奇跡を願って。

 でも、唯一の現実を認めるその画面を、今はもう見なくなった。

 先月、娘の愛犬を預かった。
 甘えっ子の柴犬くんは、リビングのソファで寛いいる時は、常にピッタリと寄り添っている。
 そんな柴犬くんが時折、部屋の角の壁掛け時計の辺りを見つめて小さく吠える。

 その壁掛け時計は、彼からの最後のクリスマスプレゼントだ。
 だから、柴犬くんが吠えるたびに温かい気持ちになった。

 人は肉体を卒業するだけで、大切な人の近くにきっといる。

 死んだらどうなるとか、あの世とか、魂とか、わからないけど、気配とか記憶として生き続けているんだろうな…って、言葉を持たない柴犬くんが教えてくれた。

 だからもう…未読のLINEは見ない。



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