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「Brothers - A Tale of Two Sons」感想

The Game Awards 2021を受賞した「It Takes Two」を手掛けたクリエイターであるジョセフ・ファレスの過去作品。どちらも協力プレイという点では共通だが、本作は一人で二人のキャラクターを操作するという斬新な操作方法を採用。また、一切セリフの無い雰囲気特化のパズルゲームとなっており、SCEから発売された『ICO』を彷彿とさせる。クリア時間は約2時間と短いゲーム体験ではあるものの、評判に恥じない作品だ。

思ったよりファンタジーな世界

死の淵に立たされている1人の男。苦しんでいる父を何としても治療したい2人の息子たちに残された手立ては、もはや1つしか無かった。2人は「命の水」を見つけ出して家に持ち帰るための旅へと出る。
                  EPIC GAMESストアページより

上記の説明からも分かるように、本作はかなりファンタジー寄りの世界観になっている。アラクネやトロールなど様々な空想生物が当たり前の様に登場し、どこか「God of war」を連想させる緑豊かで荘厳な風景。その魅力的な世界はまるで神話の様で、兄弟の旅がいかに無謀で壮大かが良く分かる良い舞台設定だと思う。

本作のテーマ

プレイしていて、二つのキーワードが思い浮かんだ。
「助け合い」「等価交換」である。

前者については言うまでもないだろう。一人では無理でも、手を取り合えば難しくない。それが兄弟間であろうが異種族間であろうが同じ事。情けは人のためならずではないが、助け合いは悪い事ではない。どんな困難も協力すれば何とかなるものだ、というのが恐らく込められているはず。

後者。本作は普通にハッピーエンドなのかなと思っていただけに、思いのほか重めなビターエンドで呆気に取られてしまった。そして、エピローグを見ていた私はこの言葉を思い出した。

「人は何かの犠牲なしに何も得ることは出来ない。
何かを得るためには同等の代価が必要になる。
それが錬金術における等価交換の原則だ。
その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた。」

今の若者が果たして知っているのかは知らないが、アニメ版「鋼の錬金術師」の前口上である。これ自体は錬金術の事を指しているが、現実でも当てはまるだろう。商品を買うには金が必要だし、大怪我を治すには時間とリハビリが必須。
本作においても「命の水」というチート級のアイテムを得るためには、やはりそれに見合うだけの代価が必要だったんだな、と勝手に解釈した。

ただ、個人的にハッピーエンドが見たかった………

シンプルかつ奥深い操作感

本作はゲームパッドの使用を推奨しており、LT,LBボタンと左スティックで兄、RT,RBと右スティックで弟を操作できる。そのため、ABXYは一切使わなず操作自体は非常にシンプルで分かりやすい。

しかし、本作は一人で協力プレイ(!?)をしなければならず、これがなかなかに頭を使う。同じ動きをさせる分には問題ないが、兄弟で違う動きをさせようとすると途端に脳への負荷が上がり、慣れるまで時間を要した。また、兄弟の立ち位置を変えた際、あらぬ方向に走り出す兄を見た時は「えぇ………」と我ながら引いた。これがヒューマンエラーちゃんですか。

昔流行った『右手で丸、左手で四角を描く遊び』をした事がある人なら難しさが分かると思うが、左右で動作を変える「デュアルタスク」の要素がこのゲームには採用されているのである。

とはいえ、実際に動かすのは指先だけなので前述の遊びほど難易度は高くないので安心してほしい。パズル要素自体は比較的容易なので、軽い脳トレとして遊ぶのもアリかもしれない。

総評

一人で同時に二人のキャラクターを操作するという斬新なゲーム性と神話の様な美しい世界観で視覚的にもインタラクティブ的意味合いでも楽しめる。

また、過度に進行を阻害する様なパズル要素は無く、2時間程度でクリア出来るボリュームとなっているため、一日でサクッと出来るのも魅力。

2022/2/25までEpic Gamesにて無料でDL出来るため、ぜひプレイされたし。


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