"記憶をつなぐカフェ" レボン快哉湯
◯初めまして、レボン快哉湯です
2020年7月、東京都台東区下谷にある築90年超の銭湯を改装して誕生したカフェ「レボン快哉湯」と申します。東京メトロ日比谷線「入谷駅」から徒歩3分、いまだに下町風情が多く残る穏やかな場所にあります。
この度、お店の歴史、新メニューの発表、イベントのご案内など、お客様に様々な情報をお届けするべくnoteを始めましたので、今後ともよろしくお願いします。
今回は初回ということで、私たちが築90年超の銭湯でカフェを始めることになった経緯とレボン快哉湯のコンセプトについて書きたいと思います。拙い文章で恐縮ですが、最後までお読みいただけますと幸いです。
◯快哉湯のストーリー
銭湯「快哉湯」は1928年に開業して以来、長きに渡り地域の人々の憩いの場として愛されてきました。湯船は男女ともに2つ、お湯がとても熱いことで有名だったようです。浴室の富士山のペンキ絵は早川利光さんという東京で最も銭湯絵を描かれたといわれている絵師さんのものです。
戦争による空襲や大地震など幾多の困難を乗り越え三代に渡り受け継がれてきた快哉湯ですが、2016年現オーナーさんの引退によって惜しまれながらも幕を下ろすことになりました。
その後、「銭湯としての営業は終えたが、この建物を未来に残したい」というオーナーさんの想いが綴られた一通の手紙がNPOたいとう歴史都市研究会に送られ、快哉湯の再活用プロジェクトが始まりました。
そのプロジェクトに銭湯の常連客だった建築会社の社員の方が参加し、木札の靴箱、富士山のペンキ絵、番台など当時の様子を極力残しながら全体的なリノベーションが施され、2019年に快哉湯はオフィスとして生まれ変わります。
着工前・竣工写真はすべて快哉湯ホームページより引用 ©︎osamu tamura
そんな折、近くでホテルをオープンするため近隣の挨拶回りをしていた当社スタッフが偶然快哉湯を見つけて立ち寄りました。そこで既にオフィスとして活用されていた建築会社の方と知り合うことになり、快哉湯の歴史や保存再生に携わった人々の想いなど様々なお話を伺いました。
話し合いを重ねていくなかで、これまでちょっとしたイベントスペースとして使用していた脱衣所側のスペースをもっと有効に活用して、快哉湯を再び地域の人々の憩いの場にすることはできないか、というご相談をいただきました。
私たちもこの立派な建物を未来に残すことに意義を感じ、快哉湯を再び多くの人で溢れかえる場所にする一助を担いたいと強く思うようになっていました。そして、元々ホテル業を生業としている私たちはソフト面・サービス面で何か力になれることがあるのではないかと考え、カフェという誰もが気軽に使いやすい業態で快哉湯を再生していくご提案させていただきました。
こうしていくつもご縁が繋がり誕生したレボン快哉湯は、「記憶をつなぐカフェ」というコンセプトを掲げ、再出発を果たすことになります。
◯「記憶をつなぐ」とは
私たちの仕事は、カフェとしてお客様に美味しいドリンクやフードをご提供することはもとより、快哉湯が銭湯だったときの様子や当時の人々の暮らしを感じてもらうこと、そして新しい快哉湯のストーリーを紡いでいくことです。
私たちは、建物を保存再生するということは、ただ単にリノベーションを施して建物の状態を維持することではなく、過去の記憶をきちんと受け継ぎながら未来に対して適切に変化していくことが大切だと考えています。
そのためレボン快哉湯では銭湯時代にご利用いただいていた地域のお客様だけではなく、銭湯に馴染みがない若い世代の方やこれまで入谷に来たことがない方にもお越しいただきたいと思っております。そして、レボンを通して快哉湯自体、またこの地域のファンが増えてくれればこの上ない喜びです。
過去の記憶を現在に、現在の記憶を未来につないでいく。レボン快哉湯を通して伝承していくことで、世代を超えて愛される空間になり、本当の意味でこの魅力溢れる建物を保存再生できると信じています。
皆様のご来店、心よりお待ちしております。