尽きない老後への不安について考える【老齢年金】
「老齢年金」って聞いたことがありますか?読んで字の如く、老齢になった際の年金制度のことを指します。国民年金と厚生年金から給付される老齢基礎年金と老齢厚生年金の違いや、加入者の種類によって異なる受給方法などを紹介しますので、老後の安定した生活を築くために、正確な知識を身につけましょう。
老齢年金についての説明
老齢年金は、老後の生活を支えるために給付される年金制度です。
具体的には2つに分けられます。
国民年金から給付される「老齢基礎年金」
厚生年金から給付される「老齢厚生年金」
それぞれについて詳しく説明していきましょう。
老齢基礎年金
条件
「第1号被保険者」とされる自営業者の方などは、基本的に、国民年金から給付される老齢基礎年金しか受給できません。
一方、「第2号被保険者」とされる会社員や公務員などの方は、国民年金から支給される老齢基礎年金に加えて、厚生年金から支給される老齢厚生年金も受け取ることができます。(企業年金なども存在しますが、こちらはお勤め先によって異なるため、別途ご確認ください。)
支給開始時期
老齢基礎年金は、「国民年金」の加入者が対象となります。日本は「国民皆年金」という制度ですので、年金保険料を納付(または免除手続き)していれば、65歳になると誰もが老齢基礎年金を受け取ることができるのです。
なお、「国民年金」では、保険料の納付義務は「20歳以上60歳未満の40年間(480ヵ月)」と定められています。かつては、原則として保険料を「25年間(300ヵ月)以上」納付していないと、老齢基礎年金を受け取る権利を得られませんでした。しかし、平成29年8月の法改正で緩和され、現在では「10年(120ヵ月)以上」の納付があれば受給資格が得られます。免除期間(※1)や合算対象期間(※2)も加味されます。
※1)免除期間
事情があり年金保険料の支払いが困難な人が申請した場合に認められる期間のことです。状況によって「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」から決定されます。
※2)合算期間
年金額には反映されませんが受給資格期間として含めることができる期間のことです。かつて国民年金が任意加入だった時代に加入していなかった方や、海外に住んでいて国民年金未加入の時期がある方などが利用できます。
支給額
そして老齢基礎年金の受給額ですが、こちらは「物価スライド形式」といって、物価の変動に応じて毎年見直されます。令和3年度の受給額は、40年間に年間保険料をすべて納付していた場合の満額で年間780,900円(月額65,075円)です。(無論、納付していなかった期間や免除期間がある場合は、減額されることになります。)
老齢厚生年金
老齢厚生年金は、厚生年金の加入者が対象です。厚生年金の加入者は、国民年金の第2号被保険者(会社員や公務員などの方)でもあり、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」を併せて受け取ることができます。
条件
現在の制度では、厚生年金は国民年金の上乗せ部分となっています。そのため、老齢厚生年金の受給資格を得るには、まず老齢基礎年金の受給資格を満たす必要があります。その上で、厚生年金の被保険者期間があるかどうかも判断の条件となります。つまり、民間の会社や官公庁などでの勤務経験が1ヵ月でもあれば、老齢厚生年金の受給資格が得られるのです。
支給開始時期
老齢基礎年金と同様、原則として65歳からとなっています。(かつては60歳からの支給開始となっていましたが、法改正によって開始時期が5年引き上げられました。)
支給額
保険料は報酬(給与)に応じて決まり、「報酬比例部分」と呼ばれます。厚生年金の被保険者期間における報酬(月給やボーナス)の金額に比例するというイメージです。つまり、年収の高い人ほどより多くの保険料を納めていることになります。保険料をたくさん納めた被保険者は、老後にもらえる老齢厚生年金の支給額も多くなるという仕組みなのです。
まとめ
以上、年金制度の基本的な部分から、老齢年金に関して説明してまいりました。個々人によって受けられる制度や金額が異なりますので、ややこしい場合にはぜひ一度ご相談ください。
いずれにしても、年金だけでは老後の生活を満足に送ることができない方がほとんどという昨今です。銀行預金だけではなく、さまざまな投資方法を採り入れて、万全なアフターライフを迎えていきましょう。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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