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【R14:STORY】花と音楽を愛するフラワークリエイター・nozomi

花屋で9年間働いてきた経験を活かし、フラワークリエイターとして活動しているnozomi(ノゾミ)。リースやアレンジメントの作品を多数発表するかたわら、学生時代に取り組んでいたフルートでの演奏活動も本格化させている。「小さくても大きな世界を表現したい」と語る彼女のバックボーンに迫った。


モノづくりを愛し、フルートに熱中した学生時代

青森県弘前市出身のnozomiは、物心ついたころから、様々なものが作りたくて仕方がなかった。「シロツメクサを編んで花冠をつくったり、壁掛けカレンダーを作ったりしていました。変わった子でしたね」。保育園での工作や小学校の図工の授業が大好きだったという。

モノづくりの次に興味を持ったのは、フルートだ。

「小学校5年生のとき、フルートの体験レッスンを受けに行ったら、音が鳴ったんです。たまたまだと思うんですけど。もし、鳴った楽器がサックスだったらサックス、ピアノが弾けたらピアノを弾いていたと思います」。

以降、高校卒業まで吹奏楽部に所属し、音楽漬けの青春を送った。

しかし、青森県内の大学に進学すると同時に、フルートを辞めてしまう。

「高校までの部活は、コンクールで金賞を目指すような厳しい環境でした。大学に入って、そうした縛りがなくなって気が緩んだせいか、少し熱が冷めてしまいました」。

音楽を休憩していたとき、縁あって華道サークルへ参加した。幼いころ、花で遊んでいた記憶が蘇ったのかもしれない。

大学では幼児教育を専攻し、保育士の資格を取得。しかし、そのまま就職することには抵抗を感じた。

「今でも、子どもは好きです。ただ、大学で勉強するうちに、自分がやりたい仕事とは違うなと思いました」。

就職活動は難航した。上京への憧れもあったが、東京で一人暮らしをすることに対する恐怖もあった。

「悩んでいた時、ゼミの先生から『華道サークルに入っているんだし、花屋を受けてみたら?』とアドバイスをいただいたんです。その後は、とんとん拍子に決まりました。花に呼ばれた、いえ、取り憑かれたかもしれません」と彼女は笑った。

フラワークリエイター活動の開始と、フルートの再開

愛知県の花屋に就職したnozomiは、店舗運営やイベント装花に携わり、時には店長を務めるなど、キャリアを積んでいった。

「ひとくちに花と言っても、店頭で作らせていただく花束、開店祝いのスタンド花、昇進・昇格祝いの胡蝶蘭、母の日のアレンジメントなど、多くの種類があります。全て経験してきました」。

何度か転職をして花業界を渡り歩き、2018年には上京を果たした。

さらに翌年、フラワークリエイターとしての活動を開始。ハンドメイドマーケットアプリ・minneを利用して、作品を販売するようになった。

「長年、花屋で仕事をするうちに、『自分の作りたいものが作りたい』という欲求が高まっていったんです。様々な制約のなかで、お客さんからの要望に応えていくのも楽しいんですけど…。積もり積もった思いがあって、遂に個人での活動を始めました」。

また、フルートの演奏活動も再開。20年7月には、初めてライブハウスへ足を運び、オープンマイクやジャズセッションに参加した。

「3年くらい前から、ふと思いついて、またフルートを吹くようになったんです。演奏できる楽曲のバリエーションを増やしていきたいですね。そして、歌うように演奏できるようになりたいです」。

現在は、都内の花屋で働きながら、空いた時間でフラワークリエイター活動やフルート演奏を行っている。

「花屋で働き始めて9年が経ちました。振り返ってみると、子どものころ、フルートを演奏していたのも9年間ほどでした。今年になって、フラワークリエイターとフルート、ふたつの好きなものを同時進行でやっていこうとしている。不思議ですね。そういうタイミングなのかな」。

今後、やってみたいことを訊いてみた。

「まずフルートは、アドリブで演奏できるようになりたいです。そのために、最近は先生について、遠隔でレッスンを受けています」。

自分の演奏を録音したものをメールで送り、アドバイスを貰う、という流れを繰り返している。

「一から音楽理論を学んで、英単語を覚えるように、コードやフレーズを覚えているところです」。

フラワークリエイターとしては、「長く続けていきたい」ということが一番にあるという。「そのためには、今は自分のブランドをしっかり作っているところです。そして、なにより、もっと色んなものが作りたい。頭に浮かぶものを全部作りたいですね」。

フラワーリースひとつとっても、使用する素材や色の組み合わせは無限に考えられる、とnozomiは言う。「リースだけでも永遠に作れるし、オブジェみたいなものも手がけていきたいです。ツリーみたいな」。

彼女が例に挙げたのは、自身が最も気に入っているという『りんごのホワイトクリスマスツリー』だった。骨組みに白いアジサイのプリザーブドフラワーを貼り付け、雪の結晶のパーツやりんご、木の実などをちりばめた、高さ20センチのミニツリーだ。

「これは去年の冬、緑色のツリーを作ったあと、夜中に『白と赤もいいんじゃないかな』思い立って、一気に仕上げました。こんな風に、花をツールとしつつ、一般的に花からイメージするものとは違うものを作り始めるかもしれません」。

彼女のフラワーアートは、とても綺麗で可愛らしい。しかし、それらには見映えのよさ以上のこだわりが詰めこまれている。

「私の作品は小さいものが多いけれど、『大きな世界を作りたい』という気持ちがあります。ただ花びらを貼り付けているわけじゃなくて、そこに表現したい世界があって、物語があるんです。ちゃんと伝えられるように作っていきたいです」。

nozomiの生み出す世界が、多くの人の目と心を喜ばせることを願う。

text:momiji

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