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レベルデザインという職人芸

前々回、コンピューターゲームは10分の中でゲームの魅力とルールを伝える必要があるというお話をさせていただきました。

その際に「順序」が大切ということと、順序を作る手法として「アンロック」と「レベルデザイン」というものがあるということをお伝えしました。

前回は「アンロック」について解説をしましたが、今回は「レベルデザイン」について解説をさせていただきます。

今回も「ゲーミフィケーション <ゲーム>がビジネスを変える」井上明人著から参照をさせていただきますが、そこで出ている『マリオ』シリーズを生み出した任天堂の宮本茂さんの言葉が、レベルデザインについてよい例と思いましたので、記載をさせていただきます。

「『マリオ』なら、まず地図の大きさを決めてしまって、決めたところにネタを貼ってみてって言うんです。『マリオ』ならひとつのネタがあったら必ずそれを覚える場所、実際遊ぶ場所、応用する場所、極める場所がある」

これは『スーパーマリオブラザーズ』をプレイした人でも覚えているかわかりませんが、覚える場所というのは最初のステージ(1-1)で、山のようなレンガが配置され、2マス間があるが床がある場所。ここではジャンプに失敗してもマリオは死にません。ここでジャンプの練習ができるわけです。

実際遊ぶ場所というのは、山のようなレンガが配置され、2マス間があるが床が無い場所。ここはジャンプに失敗するとマリオが落ちてミスとなります。

応用する場所というのは、最後に旗にぶら下がるところになります。ここではより高いジャンプをすることで、高得点を取ることができます。

極める場所というのは、次のステージ(1-2)にある、上または下に動く床にタイミングよく乗る場所となります。ジャンプを極めることで、この場所をクリアすることができます。

こういった「覚え」「遊び」「応用し」「極める」というマリオをジャンプさせることをプレイヤーが意識することなくマップの中に周到に順序立てて配置することで、自然と学習をしてもらい、ゲームの魅力とルールを知ってもらう手法がレベルデザインとなり、これを行う人をレベルデザイナーと呼びます。

このレベルデザインは、相手(プレイヤー)の気持ちを先回りして考え、かつプレイヤーに気づかれることなく体験・学習を通じてゲームの魅力とルールを知ってもらう仕組みを作るという意味で、職人芸の世界だと感じます。

ゲーミフィケーションでは、こういった「アンロック」や「レベルデザイン」の手法も取り入れて、面白くする仕組みを構築していくものとなります。

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