短編小説① はるちゃんの願い
「はるちゃんの願い」
7歳のはるちゃんは、お母さんとお話がしたかった。学校であった楽しいことや、友だちと遊んだ話を聞いてほしかったし、ただお母さんに抱きしめてもらいたかった。けれど、お母さんはいつも忙しそうで、なかなか声をかけられない。洗濯物をたたんだり、電話でお仕事の話をしていたり、夜も遅くまでパソコンを使って何かを書いていたり。
今日は、学校で大きな絵を描いた。青い空に赤い花。お母さんにも見せたかった。
リビングで、お母さんがソファに座って、雑誌を眺めながら「ふう」とため息をついた瞬間、はるちゃんは思い切って声をかけた。
「ねえ、ママ…」
お母さんが顔を上げたが、疲れた目が少し開くだけだった。「どうしたの、はる?」
「今日はね、学校で大きな絵を描いたの! 見てほしいなって思って…」 はるちゃんの声は、小さく震えていた。
「ごめんね、はるちゃん。今、ちょっと眠いから後にしてくれる?」お母さんは優しく言ったけど、その言葉は、はるちゃんの心に重くのしかかった。
「うん…」はるちゃんはそれだけ答えると、しょんぼりと自分の部屋に戻った。ドアを閉めて、ベッドの上に座り、膝を抱えた。
部屋の片隅に、描いた絵が置いてある。自分でもよく描けたと思ったのに、お母さんは見てくれなかった。
涙が目に浮かんだが、はるちゃんは泣かなかった。お母さんが忙しいことを知っていたし、いつも一生懸命働いているのもわかっていた。でも、ただ一緒にいたかった。一緒に笑いたかった。少しだけでも、お母さんに甘えたかった。
静かな部屋の中で、はるちゃんは小さな声でつぶやいた。「いつか、お母さんが忙しくなくなったら…一緒に遊んでくれるかな?」
その夜、はるちゃんはお母さんが来るのを待っていたけれど、いつの間にか眠ってしまった。
次の日、学校から帰ると、部屋の机の上に昨日描いた絵が置かれていた。そこには、お母さんからのメモが添えられていた。
「はるちゃん、すてきな絵だね。ごめんね、昨日は疲れていてちゃんと見てあげられなかった。今度、一緒にお絵描きしようね。ママより」
はるちゃんはそのメモを見て、ちょっぴり笑顔になった。そして、心の中でそっと願った。「今度は、お母さんと一緒に絵を描けますように。」
以上は、原作:はるか 脚色・イラスト:ChatGPT で作成しました。
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